「採用管理システムを入れたいが、医療介護向けのものがあるのか分からない」「ジョブメドレーATSとHRMOSはどちらが合うのか」——医療介護施設の採用担当者からよく聞く疑問です。
IT業界向けのATS比較記事を読んでも、ジョブメドレーやナースではたらこに対応した情報は出てきません。本記事では、医療・介護・保育・福祉施設に特化して、ATSの選び方と実務上の注意点を整理します。
💡この記事の要点(TL;DR)
- 医療介護領域に特化したATSの選択肢は限られていました。ジョブメドレーATSのリリースで状況が変わった
- ジョブメドレー利用施設には、2026年12月末まで無料のジョブメドレーATSが有力な選択肢
- ジョブメドレーを使っていない施設・複数媒体を使う施設にはAirワーク(無料)が現実的
- 資格管理・複数拠点・24時間稼働という医療介護の特殊事情に対応できるかが選定の核心
- 最初から高機能なATSを入れても、医療介護専門媒体との連携が限定的なため手動対応が残る場合がある
医療介護の採用実務が他業界と異なるポイント
ATSを選ぶ前に、医療介護の採用が他業界と何が違うかを把握しておく必要があります。ここを理解せずにIT系採用で評価の高いATSを選ぶと、導入後に運用ギャップが生じる可能性があります
主に使われる媒体が異なる
IT採用ではビズリーチ・Green・WantedlyといったDR系媒体が主軸ですが、医療介護ではジョブメドレー・ナースではたらこ・コメディカルドットコム・カイゴジョブなど専門媒体が中心です。これらの専門媒体との直接連携は、汎用ATSでは製品によって対応状況が異なります。
資格管理が複雑
看護師免許・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・社会福祉士など、職種ごとに必要な資格が細かく異なります。スキルタグでの管理を前提とした汎用ATSでは、資格の種類・有効期限・更新状況まで管理しようとするとカスタマイズが必要になります。
24時間365日稼働の職場
採用担当者が日勤のみでも、面接に来る候補者は夜勤明けや休日を希望するケースが多いです。日程調整の複雑さがIT採用より高く、ATSの日程調整機能や自動リマインド機能の実用性が重要になります。
継続的な採用ニーズが発生しやすい
介護職をはじめとする医療介護領域では、継続的な人材確保が課題になりやすく、応募者管理や選考進捗の整理が重要になります。(厚生労働省「令和5年度介護労働実態調査」)。そのため、ATSに管理する候補者数・選考件数が多くなります。処理速度と操作のシンプルさが定着率に影響します。
ジョブメドレーATS——医療介護特化ATSの登場
2026年4月2日、株式会社メドレーが「ジョブメドレーATS」の提供を開始しました。国内最大級の医療介護系求人プラットフォームであるジョブメドレーが、初めて採用管理システム領域に参入した製品です。
主な機能
- 複数経路の一括管理: 自社HP・ジョブメドレー・人材紹介など複数の採用経路からの応募情報を一元管理
- 重複応募の自動検知: 同一応募者が複数経路から応募した場合に自動で検知
- 生成AIによる業務効率化: 面接内容の自動文字起こし、経歴書の自動取り込み、候補者へのメッセージ文案作成
- ジョブメドレーとの自動連携: ジョブメドレー上の求人・応募者情報をATSに自動同期
医療介護の実務に合わせた設計
資格管理や複数拠点の連携など、医療介護施設が現場で直面する課題に対応した機能設計になっています。従来の汎用ATSで発生していた「専門媒体の応募者を手動で登録する」という手間が解消される点が大きなメリットです。
料金・キャンペーン
2026年12月末まで、ジョブメドレーを利用している事業所を対象とした利用料無料キャンペーンを実施しています。ジョブメドレーをすでに使っている施設であれば、費用面のハードルを抑えて試しやすい状態です。
向いている施設
- ジョブメドレーを主力媒体として使っている医療・介護・保育・福祉施設
- 複数媒体からの応募者を一元管理したい施設
- 採用担当者が少なく、オペレーションの自動化を優先したい施設
注意点
ジョブメドレーATSはジョブメドレー連携が最大の強みです。ハローワーク経由の応募者や、ナースではたらこ・コメディカルドットコムなど他の専門媒体との連携はまだ限定的です。ジョブメドレー以外の媒体を主力にしている施設では、この制約を考慮する必要があります。
ジョブメドレーATSを選ばない場合の選択肢
ジョブメドレーを使っていない、または複数の専門媒体を並行運用している施設向けの選択肢です。
Airワーク採用管理(リクルート)——無料で始めるなら
リクルートが提供する無料のATS。Indeed経由でハローワーク求人の応募者も取り込めます。ジョブメドレーなどの専門媒体との直接連携はありませんが、コストゼロで応募者管理の一元化を始められます。
採用専任者がいない小規模施設や、まずATSを試してみたい段階に向いています。機能は限定的ですが、UIがシンプルで現場スタッフも使いやすいという点が選ばれる理由です。
HRMOS——複数拠点・複数職種の統合管理に
ビズリーチグループが提供する汎用ATSです。医療介護専門媒体との直接連携は限定的ですが、複数拠点を持つ中堅〜大手の医療介護事業者での導入事例があります。エージェント管理機能が標準装備されており、人材紹介会社を複数使っている施設に向いています。
医療介護向けATS比較表
ツール | 費用感 | ジョブメドレー連携 | ハローワーク連携 | 向いているケース |
ジョブメドレーATS | 無料(〜2026年12月末) | ◎ | △ | ジョブメドレー利用施設 |
Airワーク採用管理 | 無料 | △ | ◎(Indeed経由) | 小規模施設・コスト優先 |
HRMOS | 中〜高 | △ | ○ | 複数拠点・複数職種の統合管理 |
導入前に確認すべき3つの問い
医療介護施設がATSを選ぶ前に、以下の3点を整理しておくと選定が早く進みます。
① 主力媒体はどこか
ジョブメドレーが主力ならジョブメドレーATSが有力な選択肢です。ナースではたらこ・ハローワーク・人材紹介が中心なら汎用ATSを検討します。
② 施設規模と採用頻度はどの程度か
年間採用数が10名以下の小規模施設ならAirワーク(無料)で十分です。複数拠点・年間50名以上の採用があるなら、HRMOSなどの機能が充実したATSが力を発揮します。
③ 採用担当者のITリテラシーはどの程度か
医療介護では、採用担当者が現場兼務のケースが多いです。操作が複雑なATSは定着しません。機能より「現場スタッフが迷わず使えるか」を優先した選定が、導入後の定着率を左右します。
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著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
よくある質問
Q. ジョブメドレーを使っていない施設でもジョブメドレーATSは使えますか?
使えますが、最大のメリットであるジョブメドレーとの自動連携が活かせません。ジョブメドレーを使っていない施設であれば、Airワーク採用管理も有力な選択肢になります。
Q. ジョブメドレーATSの無料キャンペーンはいつまでですか?
2026年12月末まで、ジョブメドレーを利用している事業所を対象に利用料無料キャンペーンを実施しています。詳細はメドレー公式サイトでご確認ください。
Q. ATSを入れると採用の手間はどのくらい減りますか?
複数媒体を並行運用している施設では、応募者情報の転記・重複確認・日程調整のリマインドといった定型作業が大幅に削減されます。一方で、ATSへの初期設定・担当者の習熟・運用ルールの設計に最初の2〜4週間は時間がかかります。
参考文献、資料
- 厚生労働省「令和5年度介護労働実態調査」: https://www.kaigo-center.or.jp/report/2023_chousa_01.html
- 株式会社メドレー「ジョブメドレーATS」リリース情報: https://www.medley.jp/release/ats.html
- 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46207.html