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採用業務は内製すべきか?外注すべきか?——判断フレームワーク

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「採用業務が増えてきた。でも、外注するほどなのだろうか?」

採用難易度が上がり、ダイレクトリクルーティングやSNS採用など手法が多様化する中で、採用担当者の業務量は年々増大しています。一方で、RPO(採用代行)には月額数十万円のコストがかかる。「自分たちで頑張るべきか、プロに任せるべきか」——この判断に迷う方は少なくありません。

結論から言えば、「全部自分たちでやる」も「全部外注する」も最適解ではないケースがほとんどです。重要なのは、採用業務の性質ごとに「どこまで内製し、どこから外注するか」の線引きを行うことです。

本記事では、その判断を行うための4つの軸と、よくある4つのパターンを整理します。

💡

この記事の要点(TL;DR)

「内製か外注か」は二者択一ではなく、業務の性質ごとに判断すべき

判断の4軸: ①業務量、②社内ノウハウの有無、③期間(継続 or スポット)、④コスト構造

  • 内製が向いているケース: 採用人数が少ない、社内にノウハウがある、採用ブランディングに直結する業務
  • 外注が向いているケース: 業務量が急増、ノウハウがない、期限が迫っている、工数がコア業務を圧迫

「全部内製」も「全部外注」も最適解ではない。コア業務は内製、オペレーションは外注が最も多い成功パターン

「内製か外注か」は二者択一ではない

まず、よくある誤解を解消しておきます。

「RPOを入れる=丸投げ」ではありません。

実際には、採用業務の全工程を外注する企業は少数派です。最も多いのは部分外注——すなわち、戦略設計や面接といったコア業務は社内に残し、スカウト送信や日程調整、書類管理といったオペレーション業務を外注するパターンです。

業務
性質
一般的な分担
採用戦略の策定
コア
内製(+ベンダーの助言)
人材要件の定義
コア
内製
面接・合否判断
コア
内製
スカウト送信・運用
オペレーション
内製 or 外注
日程調整・応募者対応
オペレーション
内製 or 外注
書類管理・進捗管理
オペレーション
内製 or 外注
採用広報コンテンツ制作
コア寄り
内製(外注する場合もあり)
エージェント窓口対応
オペレーション
内製 or 外注

自社の状況に合わせて「どの業務を、誰が、どのくらいの期間担うか」を設計することが、内製/外注の判断の本質です。

判断フレームワーク——4つの軸で考える

内製か外注かを判断する際、以下の4つの軸で自社の状況を整理してください。

軸1: 業務量——今の体制で回っているか?

最初に確認すべきは、現在の採用業務量に対して、今の体制で対応できているかどうかです。

目安として、採用担当者1人あたりの適正業務量を考えてみましょう。

  • 同時に進行するポジション: 3〜5件が目安
  • スカウト送信: 1ポジションあたり週50〜100通が目安
  • 面接調整・候補者対応: 同時進行中の候補者が10名を超えると事務負荷が急増

「残業でなんとか回している」「採用以外の業務(労務、総務、経理等)を兼任していて手が回らない」——こうした状態は「回っている」とは言えません。業務過多のまま運用を続けると、候補者への対応が遅れ、採用の質が落ち、結果として採用コストが上がるという悪循環に陥ります。

軸2: ノウハウ——その業務を社内でできるか?

次に確認すべきは、外注を検討している業務のノウハウが社内にあるかどうかです。

例えば、ダイレクトリクルーティングを初めて導入する場合、どの媒体を使うべきか、スカウト文面はどう書くべきか、返信率を上げるにはどうすればいいか——こうしたノウハウがゼロの状態から手探りで始めるコストは、想像以上に大きいものです。

一方で、すでに自社で運用経験があり、一定の成果が出ている業務を、わざわざ外注する必要はありません。

ポイント: ノウハウがない領域は、「外注して学びながら内製化する」というルートもあります。最初はRPOに任せてプロセスやノウハウを吸収し、半年〜1年かけて社内に移管していく方法です(後述のパターン4)。

軸3: 期間——継続的なニーズか、一時的なニーズか?

採用ニーズの期間によって、最適解は変わります。

状況
推奨
毎年一定数の採用がある
内製体制の構築が合理的(長期的に見てコスト効率が高い)
事業拡大で急に10名増員が必要
スポットで外注が合理的(社内体制をゼロから作る時間がない)
採用担当者が退職した
つなぎとして外注し、後任を採用・育成
新規事業で新しい職種を初めて採用する
外注してノウハウを得た後、内製化を検討

一時的なニーズに対して恒久的な内製体制を作ると、ニーズが落ち着いた後に人員の余剰が発生します。逆に、恒久的なニーズに対してスポットの外注を繰り返すと、毎回の立ち上げコストが積み重なって非効率になります。

軸4: コスト構造——見えないコストを含めて比較しているか?

「外注は高い」と感じる方は多いですが、内製にも見えないコストが存在します。

内製のコスト:

  • 採用担当者の人件費(月額40〜60万円程度)
  • 採用担当者の管理コスト(上司の管理工数、評価、育成)
  • 機会損失(採用業務に追われて、面接や戦略策定に時間を使えない)
  • ツール費用(ATS、スカウト媒体等)

外注のコスト:

  • RPOの委託費(月額30〜80万円程度)
  • コミュニケーションコスト(定例MTG、要件すり合わせ)
  • 品質管理コスト(レポート確認、フィードバック)

「外注費が月60万円で高い」と感じても、社内の採用担当者が採用オペレーションに月160時間を費やしている場合、その人件費+機会損失を加味すると外注の方がトータルコストが低いケースは珍しくありません。

具体的なコストシミュレーションは「RPO(採用代行)とは?」の費用相場セクションで解説しています。

判断マトリクス

4つの軸を組み合わせると、以下のような判断になります。

業務量
ノウハウ
期間
推奨
少ない
あり
継続的
内製でOK
多い
あり
継続的
部分外注(オペレーションのみ外注)
多い
なし
一時的
フルRPO(スポットで外注)
多い
なし
継続的
外注→内製化の段階移行
少ない
なし
一時的
部分外注(特定業務のみ外注)

パターン別の最適解

4つの軸による判断を、よくあるパターンに当てはめて具体的に見ていきます。

パターン1: 全部内製でOK

こんな企業に当てはまる:

  • 年間採用数が数名程度
  • 専任の採用担当者がいて、業務に余裕がある
  • ダイレクトリクルーティングやエージェント対応のノウハウが蓄積されている

この場合、無理に外注する必要はありません。ATS(採用管理システム)やスカウト媒体のツールを活用して効率化を図ることで、内製のまま対応できます。

実務者の視点: 採用支援の初回商談では、企業の状況をヒアリングした上で「今の段階では内製で十分です」とお伝えすることもあります。無理にRPOを勧めても、業務量が少ない段階では費用対効果が合いません。「困ったときにまた相談してください」——正直にそう言える関係の方が、長期的にはお互いにとって良い結果になります。

パターン2: 部分外注が最適

こんな企業に当てはまる:

  • 複数ポジションを同時に採用しており、オペレーション工数が膨大
  • 戦略設計や面接は社内でできるが、スカウト送信・日程調整に時間を取られている
  • コストを抑えつつ、採用担当者をコア業務に集中させたい

外注する業務の例:

  • スカウト送信・運用(候補者リサーチ、文面作成、送信、返信対応)
  • 面接の日程調整(候補者・面接官の双方との調整)
  • 書類管理・ATS入力
  • エージェントへの合否連絡・日程調整

社内に残す業務:

  • 採用戦略の策定(どのポジションを、いつまでに、どう採るか)
  • 人材要件の定義(現場との連携)
  • 面接の実施と合否判断
  • 内定者フォロー(企業の顔として候補者と向き合う業務)

最もバランスが取れたパターンであり、多くの企業がこの形で成果を出しています。

パターン3: フルRPOが合理的

こんな企業に当てはまる:

  • 採用担当者がいない(退職、異動、そもそも不在)
  • 短期間で大量採用が必要(事業拡大、新規プロジェクト)
  • 新しい採用チャネル(ダイレクトリクルーティング、エンジニア採用等)を立ち上げたいが、社内にノウハウが全くない

フルRPOでは、採用計画の策定支援から母集団形成、選考管理、内定フォローまで、プロセスのほぼ全体をベンダーに委託します。社内の担当者は「方針決定」と「面接への参加」に集中できます。

ただし、フルRPOには「丸投げ」との境界線が曖昧になるリスクがあります。落とし穴を避けるため、「RPO導入の失敗事例と回避策」で紹介した3つの回避策を必ず実践してください。

RPOの詳細な導入ステップは「RPO(採用代行)とは?」を参照してください。

パターン4: 外注→内製化の段階移行

こんな企業に当てはまる:

  • 今はノウハウがないが、将来的には社内に採用体制を構築したい
  • まずはプロに任せて、やり方を学びたい
  • RPOへの依存を長期間続けたくない

このパターンでは、最初の半年〜1年はRPOに業務を委託しつつ、以下のステップで内製化を進めます。

ステップ1: RPOと一緒に運用しながら、ノウハウを吸収する(月次で振り返りMTGを実施し、学びを社内に蓄積) ステップ2: 社内の採用担当者が一部業務を引き取る(まずは日程調整や書類管理から) ステップ3: 段階的にRPOの業務範囲を縮小し、最終的には内製に移行

重要なのは、契約時に「内製化支援」を明示的に合意しておくことです。内製化のゴール(いつまでに、どの業務を社内に移管するか)を最初に決め、RPOベンダーにもそのスケジュールを共有してください。

ベンダーによっては内製化を嫌がる場合もあります(自分たちの契約がなくなるため)。逆に、内製化支援を積極的に提案するベンダーは、顧客の長期的な成功を考えている証拠です。

社内で「外注」を提案するときの説明の仕方

「RPOを使いたい」と思っても、経営層やCFOの承認が必要な場合があります。経営層が気にするのは「費用対効果」と「リスク」です。

費用対効果の伝え方

「外注費 vs 内製の機会損失」で比較する資料を作ると説得力が出ます。

例:

「現在、採用担当者はスカウト送信に月80時間を費やしています。この工数をRPOに委託すると月額50万円ですが、その80時間をコア業務(面接、戦略策定、内定者フォロー)に充てることで、採用のリードタイムを2週間短縮できる見込みです。リードタイムの短縮は内定辞退率の低下に直結し、1名あたりの採用コストを削減できます」

単に「忙しいから外注したい」ではなく、「外注することで何が改善されるか」を定量で示すことがポイントです。

リスクの伝え方

「外注するリスク」だけでなく、「外注しないリスク」も提示してください。

  • 採用担当者の退職リスク(1人に依存する体制の脆弱性)
  • 候補者対応の遅延による取りこぼし
  • 採用ノウハウの属人化

「まず3ヶ月のトライアル」

経営層がRPO導入に慎重な場合、「まずは3ヶ月のトライアルで効果を検証し、成果が出れば継続する」という提案が通りやすいです。月額固定型で3ヶ月の最低契約期間を設け、期間中にKPIで効果を測定する——このアプローチなら、コミット不足による失敗リスクも、過大投資のリスクも抑えられます。

まとめ

採用業務の内製と外注は、二者択一ではありません。

4つの軸(業務量・ノウハウ・期間・コスト構造)で自社の状況を整理し、業務の性質ごとに最適な分担を設計する——これが正しいアプローチです。

多くの企業にとって、「コア業務は内製、オペレーションは外注」の部分外注が最もバランスの取れた選択肢です。まずは4つの軸で自社の状況を棚卸しし、どのパターンに当てはまるかを見極めてください。

外注を検討する場合は、RPO会社の選び方を「採用代行会社の比較と選び方」で、導入時の注意点を「RPO導入の失敗事例と回避策」で確認することをお勧めします。

弊社お問い合わせ窓口

株式会社プロリク | 人とAIの働き方をリデザインする

株式会社プロリクは「人とAIの働き方をリデザインする」AHRカンパニーです。独自開発AIによるエンジニア採用支援で採用を成功に導き、生成AIソリューションで企業の業務自動化までを一気通貫で支援し、人とAIの協働を支援します。

www.prorec.jp

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著者について

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宮前 貴史(株式会社プロリク )

大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している

よくある質問

Q: 外注すると社内にノウハウが残らないのでは?

任せきりにすれば、確かにノウハウは蓄積されません。しかし、定期的な情報連携を仕組み化すれば、外注しながらノウハウを蓄積することは可能です。

具体的には、週次の振り返りMTGで「何がうまくいったか、何がうまくいかなかったか、次に何を試すか」を共有し、その学びを社内のドキュメントに蓄積していく方法があります。また、前述のパターン4(外注→内製化の段階移行)で計画的にノウハウを移管することもできます。

Q: 採用人数が少なくてもRPOは使えますか?

使えますが、費用対効果の面で内製の方が合理的な場合が多いです。年間採用数が数名であれば、RPOの月額費用を払うよりも、社内の担当者が対応した方がトータルコストは低くなります。ただし、「数が少なくてもノウハウがゼロ」の場合はRPOの活用が合理的です。

Q: 外注から内製に切り替えるときの注意点は?

急に全部を引き取らないことが最大のポイントです。段階的に業務を移管し、1つの業務が安定してから次の業務を引き取る——というステップを踏んでください。また、RPOベンダーが使っていたマニュアルやテンプレートは、内製化後も活用できるよう、契約時に成果物の帰属を明確にしておくことが重要です。

Q: 人材派遣とRPO(業務委託)のどちらが合っていますか?

最大の違いは業務指示権の所在です。

人材派遣
RPO(業務委託)
業務指示
依頼元が直接指示できる
委託先が管理・指示(直接指示はNG)
向いているケース
社内に採用ノウハウがあり、指示ができる
ノウハウごと任せたい
コスト
時間単価 × 稼働時間
月額固定 or 成果報酬

「やり方を自分たちで決めて、手を動かす人が欲しい」なら人材派遣。「やり方の設計ごと任せたい」ならRPO。判断に迷ったら、どちらのモデルが自社の状況に合うかを基準に選んでください。