Claude Codeを入れてみたものの、結局どこまで自分の業務に使えるのか。手が止まっている方は多いはずです。社内にエンジニアはいない、自分もコードは書けない。それでも、毎日くり返している作業をなんとか軽くしたい。
株式会社プロリクの橋崎です。弊社は、AHR(AI and Human Resources)という考え方を提唱し、AIファーストで企業を設計することを提案し、支援している会社です。これまで、非エンジニアの立場で、ノーコードツールやClaude Codeを使って自社の業務をいくつも自動化してきました。Google広告の入稿、Facebook広告の運用、除外キーワードの毎朝の整理、採用管理システム、そして喋る音声端末。作ったものはバラバラですが、進め方は5つとも同じでした。
この記事は、その5つの実践記録を1つにまとめた案内です。それぞれの詳しい手順は個別の記事に書いてあるので、ここでは「非エンジニアがClaude Codeで何をどこまで自動化できるのか」「5つに共通するやり方は何か」「どこでつまずくのか」を、俯瞰してお伝えします。これから自分の業務を自動化してみたい方が、最初に読む地図のつもりで書きました。
AHRとは?
AHR(AI and Human Resources)とは、企業の経営課題に向き合う組織能力を充足させるため、AI資源と人的資源を経営資源として設計・運用・再配分する、株式会社プロリクが2025年6月に提唱した実践フレームです。従来のHRが人的資源のみを扱ったのに対し、AHRはAIを人と並ぶ「経営のコア資源」と捉え、組織能力獲得を目指す考え方です。AHRは、株式会社プロリクの登録商標です。
📄 詳細記事: 【決定版】AHRとは?-人とAIの働き方をリデザインする
この記事の要点(TL;DR)
- Facebook(Meta)広告のキャンペーン作成・ターゲティング・広告入稿・レポート取得を、Claude Codeとの会話だけで完結させた。管理画面は一度も開かない
- Google広告のときは既存のMCPが全て「読み取り専用」でPythonスクリプトを自作したが、Facebook広告は Pipeboard MCP が「書き込み」まで対応していたため、自作は不要だった
- 日本円アカウントの予算は「1 = ¥1」。通貨単位が何で設定されているかを事前確認すること
- 非エンジニアでもClaude Codeでほぼ自動化が完了
非エンジニアがClaude Codeで自動化できる業務の範囲
結論から書くと、管理画面での定型作業と、毎日くり返す判断作業は、非エンジニアでもClaude Codeで自動化できます。 一方、個人情報の安全対策を自分で設計する必要がある仕組みは、非エンジニアにはまだ荷が重く、Claude Codeの性能が大きく向上している2026年7月の時点においても、無理に自作しない方がよい領域だと考えています。
実際に作った5つを、難易度の低い順に並べます。それぞれ何を自動化したのか、どのくらい手間が減ったのかを一覧にしました。詳しい手順は各記事にあります。
作ったもの | 何を自動化したか | 変化 | 難易度 |
Google広告の入稿 | キャンペーン作成・キーワード設定・広告文入稿・除外設定 | 数十分 → 約2分 | 中 |
Facebook(Meta)広告の運用 | キャンペーン作成・ターゲティング・入稿・レポート取得 | 管理画面を開かず会話だけで完結 | 低 |
除外キーワードの整理 | 毎朝たまる不要な検索語をAIが判定し自動で除外 | 毎日30分 → 結果確認のみ | 中 |
採用管理システム(ATS) | 候補者管理・応募経路の取り込み・書類選考の下書き | 有料ツールもスプレッドシートも使わず自社仕様 | 高 |
喋る音声端末 | 音声での対話・予定の声かけ・毎朝の自動対話 | 約2万円の機材で自作 | 中 |
一つずつ、どんな記事かを紹介します。
Google広告の入稿は、このシリーズで最初に作ったものです。新しいLP(ランディングページ:広告の着地先となる1枚のページ)を出すたびに、管理画面でキャンペーンを作り、キーワードを入れ、見出し15個と説明文4個の広告文を入稿していました。この一連が、ターミナルで数行打つだけの約2分になりました。なお、これを作る過程では既製のツールが使えず、Pythonのスクリプトを自作しています。よろしければ以下をご参照ください。 📄 関連記事:【実践Claude Code】Google広告操作を自動化した全記録
Facebook(Meta)広告の運用は、そのGoogle広告版の続編です。Googleのときは自作が必要でしたが、Facebook広告には「書き込み」まで対応した既製のMCP(後述)があり、自作せずに済みました。管理画面を一度も開かず、Claude Codeとの会話だけでキャンペーンから広告入稿まで完結します。なお、既製のツールで足りたぶん、別の注意点がありました。よろしければ以下をご参照ください。 📄 関連記事:【実践Claude Code】Facebook(Meta)広告をClaude Codeで自動化した話
除外キーワードの整理は、広告を「出したあと」の運用の自動化です。広告を配信すると、狙っていない検索語(「人事 評価 AI」「アルバイト 求人」など)でもクリックされ、その分の広告費がかかります。これを毎朝AIが1語ずつ「探しているのは自社の顧客か、そうでないか」で判定し、違う語だけ自動で除外します。初回は新しい検索語20件のうち4件を除外しました。私が朝やるのは結果の確認だけです。なお、夜も動かすために、自分のPCではなく常時稼働するクラウド環境に載せています。よろしければ以下をご参照ください。 📄 関連記事:【実践Claude Code】Google広告の除外キーワード運用を、n8n+AIで自動化した記録
採用管理システム(ATS)は、5つの中でいちばん大きい仕組みです。ATS(Applicant Tracking System:候補者の情報と選考の進み具合を一元管理する仕組み)は、有料だと月数万〜数十万円かかります。かといってスプレッドシートは候補者が増えるほど煩雑になる。その隙間を、いま会社で使っているGoogle Workspaceの中に、GAS(Google Apps Script:Google Workspaceの中で動かせるプログラム)で自作しました。なお、この記事には、自作すべきでない領域の話も書いています。よろしければ以下をご参照ください。 📄 関連記事:採用管理システム(ATS)をClaude Codeで自作してみた
喋る音声端末は、業務というより実験に近い1本です。約2万円の機材(小型コンピューターとマイクスピーカー)とClaude Codeで、声で対話できるAI端末を作りました。予定を声で知らせる、毎朝決まった時間に対話する、といった機能があります。作れるものの範囲がどこまで広がっているかを実感した記録です。よろしければ以下をご参照ください。 📄 関連記事:【実践Claude Code】Claude Codeで喋る端末を作ってみた
5つに共通する「進め方」——難しいのはコードではない
5つを作って分かったいちばん大事なことは、Claude Codeでの自作でつまずくのはコードではなく、その手前の"考える"部分だということです。コードはClaude Codeが書きます。人間がやるのは「何を作るか」を決めることで、ここは5つとも同じ進め方でした。
共通していたのは、次の3つの原則です。
1. いきなり「作って」ではなく、まず設計を相談する Claude Codeに「ATSを作って」「広告自動化ツールを作って」といきなり頼んでも、まともなものが出てくることは少なかったです。動くものは何かしら出してきますが、非効率な作りになっていることが多くあります。そのため、最初にやるのは、「こういうものがほしい」「ここで迷っている」を自分の言葉で書き出すことだと感じています。整った仕様にする必要はありません。箇条書きの殴り書きで、迷っている点は"質問のまま"残しておく。この「何がほしいか・どこで迷っているか」は、現場を知っている自分の頭の中にしかなく、AIには代わりに作れない部分です。
2. 小さく作って、動かして、次に進む 最初から全機能を詰め込もうとすると失敗します。まず動く最小限(広告なら「キャンペーンを1つ作る」、ATSなら「候補者の一覧と登録」)だけを作って動かし、そこに機能を1つずつ足していきます。この順番を守るだけで、手戻りが大きく減ります。
3. エラーが出たら、そのままClaude Codeに貼る 実際のやり取りは、拍子抜けするほど単純でした。コードが出力される、実行する、エラーが出る、「このエラーが出た。修正して」とそのまま貼る、修正される、また実行する。この繰り返しです。エラーメッセージを自分で読み解く必要はありません。
大きい仕組みほど、この「1. 設計を相談する」に時間をかけます。採用管理システムのときは、手書きの企画メモ → 別のAIで壁打ちして仕様に整える → Claude Codeで「何を・なぜ作るか」を確定 → 基本設計・詳細設計で「どう作るか」を書き切る → 実装、という順で積み上げました。設計が薄いと、Claude Codeは"それらしい別物"を作ってしまいます。逆に「どう作るか」を具体的に書いておくほど、実装は素直に進みます。
もう1つ、実務的なコツがあります。設計の段階では、複数のAIを使い分けることです。発想を広げて整理するのは対話型のAI、要件と設計と実装はClaude Code、書いた設計を別角度で見直すのはまた別のAI、というふうに。同じ問いを別のAIに投げると、片方が見落とした穴をもう片方が拾うことがあります。人にレビューを頼むのと同じで、視点が増えるほど設計は堅くなります。
自動化しても「人の最終確認」は残す
自動化というと「全部AIに任せて手を離す」姿を思い浮かべがちですが、安全に使うために、「AIが作業し、人が最後に確認する」形を残しておくことが肝要だと感じます。私が実装を進めた5つの例ともに、最終判断は人に残す形にしています。
具体的には、こう分けています。
自動化したもの | AIがやること | 人が最後にやること |
広告の入稿 | キャンペーン・広告文を作る | 停止状態で作られたものを確認し、配信のGOを出す |
除外キーワード | 不要な検索語を判定して除外案を出す | 朝、除外された語の一覧を確認する |
書類選考(ATS内) | 経歴と募集要件から合否の下書きを返す | 画面で確認し、人がボタンひとつで反映する |
広告の入稿では、AIが作ったキャンペーンは必ず停止状態(配信されず課金も発生しない状態)で作られるようにしています。人が最終確認してからGOを出す運用です。書類選考でも、AIの判定を合否に自動反映せず、下書きとして扱います。AIは間違えるからです。判定が「要確認」のときは自動で状態を動かさない、という設計にしておくと、人間として安心です。
「人が確認する一手間を残す」ことは、自動化の手抜きではありません。むしろ、この一手間があるから、残りの9割を安心してAIに任せられます。
5つに共通した落とし穴
先に「難しいのはコードではない」と書きました。では実際に何で時間を溶かすのか。5つを通じて共通していたのは、認証・設定・環境まわりの、地味な落とし穴です。ここを先に知っておくと、同じ回り道を避けられます。
認証に時間の大半を取られる。 Google広告を自作したときは、コードを書く時間より、外部から広告を操作する許可を通す「認証」の試行錯誤の方がはるかに長く、全体の6割以上がここでした。ネット上の古い記事が、すでに廃止された認証方式を案内していることも多く、そのまま進めると行き止まります。一方でFacebook広告は、認証まで肩代わりしてくれる既製のMCP(Model Context Protocol:AIが外部サービスのAPIに接続するための標準規格)があり、繋ぐだけなら数分でした。同じことをやるにも、既製のMCPがあるか自作かで、最初の入口の重さがまるで違います。
「直したのに直らない」の正体は、たいてい版ズレ。
GASで採用管理システムを作ったとき、いちばん時間を溶かしたのが"版ズレ"でした。コードは直したのに、公開画面は古いバージョンのまま動く。「登録したのに一覧に出ない」と、ありもしないバグを探すことになりましたが、これはGASが最初から用意しているテスト用URL(末尾が /dev)に気づいていないだけ、という初歩的なミスが原因でした。
お金の通貨の定義は、最初に確認する。 これも非常に初歩的なミスではありますが、Facebook広告では、予算の通貨単位に注意が必要でした。日本円アカウントは「1 = ¥1」ですが、これを取り違えると意図しない金額を設定しかねません。金額を扱う自動化は、動かす前に通貨単位を必ず確認することで混乱しないで済みます。
自分のPCは夜に動かないが、Claude Codeは平然と提案を行う 除外キーワードの運用は毎朝自動で動かしたい性質のタスクです。しかし、Claude Codeにそのまま希望を伝えると、ローカル環境でしか動かない定時実行の仕組みを提案されてしまうことがありました。ローカル、つまりPCを閉じている夜間や休日は動かないという仕組みです。本来、毎日決まった時間に動かしたいという意図とはずれた提案ということになります。
こうした落とし穴は、どれもコードの中身とは関係のないところにあります。初歩的なミスも含めて、Claude Codeに依存して作りすぎると多くの遠回りになってしまいます。私が犯したミスは各記事の末尾にリスト化してあります。同じことをやる前にClaude Codeへ一緒に渡していただければ、同じ誤案内は避けられるはずですので、よろしければご活用ください。
まとめ
Claude Codeで業務を自動化するのに、コードを書ける必要はありませんでした。5つの仕組みを作って共通していたのは、次のことです。
- 難しいのはコードではなく、「何を作るか」を自分の言葉にすること
- 進め方は3つ。設計を相談してから、小さく作って動かし、エラーはそのまま貼る
- 全自動にせず、人の最終確認を残すと、安全と速さが両立する
- つまずくのは認証・版ズレ・権限・実行環境といった周辺が多い
まずは、いま自分がくり返している作業を1つ選んで、Claude Codeに「これを自動化したいんだけど、どう進めたらいい?」と相談するところから始めてみてください。この記事で挙げた5つの記録も、それぞれ落とし穴まで含めて残してあります。同じことをやるとき、回り道を減らす助けになるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q. 非エンジニアでもClaude Codeで業務を自動化できますか? A. できます。この記事では、社内にエンジニアがいない環境で、広告入稿・広告運用・採用管理システム・音声端末など5つの仕組みを自動化しました。コードはClaude Codeが書くので、人間がやるのは「何を作るか」を決めることです。難しいのはコードよりも、この設計の部分です。
Q. Claude Codeで自動化を始めるとき、最初に何をすればいいですか? A. いきなり「作って」と頼まず、まず「こういうものがほしい」「ここで迷っている」を自分の言葉で書き出します。整った仕様にする必要はなく、箇条書きの殴り書きで構いません。それをClaude Codeに相談し、小さく動く部分から作って、機能を1つずつ足していくのが基本の進め方です。
Q. どんな業務がClaude Codeでの自動化に向いていますか? A. 管理画面での定型作業(広告の入稿など)と、毎日くり返す判断作業(不要な検索語の除外など)が向いています。実例では、管理画面で数十分かかっていた広告作成が約2分に、毎日30分かかっていた除外キーワードの整理が結果確認だけになりました。
Q. 自動化するとき、AIにどこまで任せていいですか? A. 最終確認は人に残すのが安全です。広告は停止状態で作って人がGOを出す、AIの書類選考は下書きまでにして人が確認してから反映する、といった形にします。全自動にしないことで、残りの作業を安心してAIに任せられます。AIは間違えるため、判断の最後は人が持ちます。
Q. Claude Codeでの自動化は、どこでつまずきますか? A. コードそのものより、認証・設定・環境まわりでつまずきます。Google広告の自作では、認証を通すだけで全体の6割以上の時間がかかりました。ほかにも、GASの版ズレ(直したのに古いコードが動く)、通貨単位の取り違え、権限の広がり、夜間に動かない実行環境など初歩的なミスを含めて落とし穴になりやすいです。
Q. 既製のツール(MCP)と自作、どちらを選べばいいですか? A. 既製のMCP(AIが外部サービスに接続するための仕組み)が、やりたいことに対応をしていれば、それを使う方が早いです。Facebook広告は既製のMCPで足り、繋ぐのに数分でした。一方Google広告は既製のものが読み取り専用しかなく、思い通りの挙動にならなかったため、Claude Codeに依頼してPythonスクリプトを自作しました。まず既製品を探し、なければ自作、という順で判断する形でいかがでしょうか。
Q. 個人情報を扱うシステムも非エンジニアが自作していいですか? A. 慎重に判断してください。個人情報の安全対策を自分で設計する必要がある仕組みは、非エンジニアには荷が重く、設定ミスで外部から読める事故が起きやすい領域です。たとえば、採用管理システムは、安全対策をGoogleに任せられるGAS+スプレッドシートで私は作りました。安全対策を自前でやる形は、非エンジニアにはおすすめしません。
Q. 自作した仕組みと、業務を外に任せるのは、どちらがいいですか? A. 会社の規模と段階で変わります。自作は、費用をかけずに自社仕様の仕組みを持てますが、運用し続けるコストがかかります。候補者の個人情報を大量に扱い判断まで含む採用業務のように、専門チームに業務ごと任せた方が見合う場合もあります。自作できるようになると、この3つ(自作・既製品・外注)を自分で比べられるようになります。
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株式会社プロリクでは、生成AI導入・実装・運用支援サービス「MIRAIGEN(ミライジェン)」を提供しています。本記事のようなMCP連携による広告運用の自動化から、社内業務プロセスの再設計まで、お気軽にご相談ください。
著者について
橋崎 良哉(株式会社プロリク )
Webサイト制作事業にて在学中に起業。家業に入り、鉄鋼加工会社で取締役として業績回復を牽引。その後グローバルに特化したデジタルマーケティング支援会社にてマーケター、データ解析などを担当した後、AIスタートアップであるエッジテクノロジー株式会社の取締役COOとして、機械学習実装支援や、機械学習を用いた営業自動化SaaSを立ち上げ、6年で0から社員70名程度までグロースさせる。2020年2月株式会社プロリクを設立。