株式会社Iteraが2026年8月に行った調査では、過去1年以内に転職活動をした880名のうち、26.02%が生成AIに質問して企業情報を集めていました。口コミサイト(OpenWork・転職会議など)を使った12.50%の約2倍にあたります。
生成AIは、転職活動における企業情報の収集手段の一つになっています。一方で、調査によって生成AIの利用率は大きく異なります。企業研究に使ったのか、職務経歴書の作成なども含めた転職活動全般に使ったのかによって、数字の意味が変わるためです。
では、候補者は生成AIで企業の何を調べ、応募先の判断にどう利用しているのでしょうか。また、企業向けに提供され始めた「採用LLMO」の支援サービスには何があり、費用や効果をどう判断すればよいのでしょうか。
この記事では、日本と海外の公開調査を比較し、生成AIによる企業研究の実態を整理します。後半では、採用LLMO関連サービスの内容と料金、導入効果を判断する際の注意点を紹介します。
💡この記事の要点(TL;DR)
- 生成AIに質問して企業情報を集めた人は26.02%。 Iteraが2026年8月に調査した、過去1年以内に転職活動をした880名の結果です。生成AIまたはGoogle検索上部のAI要約で企業情報を調べた人は35.7%でした。
- 生成AIの利用率は、調査対象と利用目的によって異なります。 企業研究に限定した調査では26.02%(Itera)、35歳以下の中途候補者を対象とした調査では30.5%(GIG)。就職・転職活動全般での利用を聞いたCINCの調査では67.7%でした。
- 候補者は、事業内容・評判、年収・待遇、面接や働き方などを調べています。 Iteraの調査では、AI経由で企業情報を調べた314名のうち、事業内容・評判が59.24%、年収・待遇の相場が53.82%でした。
- 生成AIの回答は、応募や志望度の判断にも関わっています。 GIGの調査では、AIで企業情報を調べた中途候補者の52.8%が、回答をもとに応募しないと判断したことがあると答えています。ただし、分母は概算で約36名と少数です。
- 生成AIが新しい企業を知るきっかけになることもあります。 CINCの調査では、生成AIの利用経験者988名の62.8%が、それまで知らなかった企業を知った経験があると回答しました。また、就職・転職活動で生成AIを使った770名の73.4%が、企業の志望度が変わったことがあると答えています。
- AIの回答には誤りが含まれる場合があります。 PerceptionXによる日本を含む7か国の調査では、58%が企業に関するAIの回答の誤りに気づいた経験があると答えています。該当設問の回答者数は公表されていません。
- 採用LLMO関連サービスには、診断・監視、コンテンツ制作、技術対応などがあります。 国内で紹介する採用領域向け2社は、確認した公開情報では料金を把握できませんでした。海外には月20ドル台からの監視ツールもありますが、サービスの範囲は異なります。
- 応募増加への効果を第三者が検証したデータは、今回確認した範囲では見つかりませんでした。 導入前に、まず自社が生成AIにどう紹介されているかを確認し、改善する情報と成果の測り方を決める必要があります。
日本の転職活動者の26.02%が、生成AIに質問して企業を調べている
株式会社Iteraが2026年8月26日に行った調査では、全国の会社員5,000名のうち、過去1年以内に転職活動をした880名に、企業情報の収集方法を聞いています。
結果は次のとおりです。
企業情報の収集方法(複数回答) | 割合(n=880) |
転職サイト・エージェントなどの求人情報 | 48.64% |
企業の公式サイト | 34.32% |
生成AIに質問した | 26.02% |
Google検索上部のAI要約を見た | 21.59% |
口コミサイト(OpenWork・転職会議など) | 12.50% |
SNSで検索した | 9.20% |
生成AIに質問した人は26.02%で、口コミサイトを利用した12.50%の約2倍でした。
また、生成AIへの質問とGoogle検索上部のAI要約の利用を合わせた人数は314名で、転職活動者880名の35.7%にあたります。両方を利用した人もいるため、26.02%と21.59%を単純に足した数字ではありません。
ただし、これは全国の転職者全体の利用率ではありません。調査対象となった会社員のうち、過去1年以内に転職活動をした880名の結果です。
さらに、調査を実施したIteraはAI検索最適化に関連する事業を展開する会社です。結果を読む際は、調査対象や設問とあわせて、調査主体も確認する必要があります。
生成AIの利用率は、調査対象と利用目的によって異なる
「転職活動で生成AIを使った人は何割か」という問いに対して、調査によって異なる数字が出ています。
これは、調査対象者の属性や、何を「利用」と数えているかが違うためです。
調査 | 対象 | 生成AIの利用について聞いた内容 | 割合 |
Itera(2026年8月) | 過去1年以内に転職活動をした会社員880名 | 生成AIに質問して企業情報を集めた | 26.02% |
GIG(2026年7〜8月) | 直近半年以内に転職活動をした35歳以下の中途候補者118名 | 企業調査にAIを使った | 30.5% |
CINC(2026年5月) | 就職・転職活動中、または直近1年以内に活動した20〜49歳の1,296名 | 就職・転職活動で生成AIを使った(用途全般) | 67.7%(中途60.2%) |
IteraとGIGは、企業情報の収集にAIを使ったかを聞いています。どちらも3割前後ですが、年齢や対象者、転職活動の期間が異なるため、同じ条件の数字ではありません。
一方、CINCの67.7%は、自己分析や応募書類の作成なども含めた、就職・転職活動全般での利用です。企業情報を調べた割合とは区別する必要があります。
マイナビの「転職動向調査2026年版」は、さらに違う観点から調べています。
2025年に転職した1,446名のうち、応募先企業の選定で生成AIが「とても影響した」「まあ影響した」と答えた人は26.8%、入社先企業の決定では33.6%でした。
この調査では、生成AIの利用率ではなく企業選択への影響を聞いています。生成AIを使っていない人も分母に含まれるため、企業研究に使った人の割合とは直接比較できません。
「転職者の何割が生成AIを使っているか」を示す際には、企業研究、転職活動全般、意思決定への影響を分けて考える必要があります。
候補者は生成AIで企業の何を調べているのか
Iteraの調査では、生成AIまたはGoogle検索上部のAI要約で企業情報を調べた314名に、その内容を聞いています。
最も多かったのは事業内容・評判の59.24%で、次いで年収・待遇の相場が53.82%でした。文書作成の補助は40.45%でした。
海外を含む調査では、候補者が生成AIに質問する内容がもう少し細かく分けられています。
PerceptionX社が2026年5月に日本を含む7か国の求職者306名を対象に行った調査で、質問の種類について回答した157名の結果は次のとおりです。
質問の種類 | 質問の例 | 割合(n=157) |
面接の準備 | 「X社の面接では何を聞かれるか」 | 70% |
評判の確認 | 「X社は働く会社としてよいか」 | 54% |
働く実態 | 「X社で働くのはどんな感じか」 | 54% |
事実の確認 | 従業員数など | 45% |
企業を探す | よい企業を挙げてもらう | 40% |
企業の比較 | 複数の企業を比べる | 38% |
企業についての基本情報だけでなく、面接の準備や働き方、複数社の比較にも生成AIが使われています。
ただし、この結果は日本だけの調査ではありません。また、PerceptionX社は企業の評判管理サービスを提供しています。日本の転職者全体の利用傾向として一般化することはできません。
生成AIの回答は、応募や志望度の判断にも関わっている
生成AIによる企業研究は、情報収集だけで終わるとは限りません。
株式会社GIGの調査では、AIで企業情報を調べた中途候補者の52.8%が、「AIの回答をもとに応募しないと判断した」と答えています。新卒では22.7%でした。
ただし、52.8%の分母は中途候補者118名全員ではありません。企業調査にAIを使った30.5%の人が対象で、割合から概算すると約36名です。人数が少ないことを踏まえて読む必要があります。
同じ調査では、AIの回答を確かめるために公式サイトや採用サイトを調べた中途候補者が55.6%いました。生成AIの回答をそのまま受け取るだけでなく、企業の公式情報と照合する候補者もいます。
また、株式会社CINCの2026年5月の調査では、生成AIの利用経験がある988名の62.8%が「AIを使って、それまで知らなかった企業を新たに知ったことがある」と答えました。
さらに、生成AIを使って就職・転職活動をした770名を対象とする別の調査では、73.4%が「AIが提示した情報をもとに企業の志望度が変わったことがある」と答えています。
この2つの数字は分母が異なります。前者は生成AIの利用経験者、後者は生成AIを就職・転職活動に使った人の結果です。
CINCは採用向けのAI検索対策サービスも提供しているため、調査結果と同社のサービス効果は分けて考える必要があります。
これらの調査から確認できるのは、生成AIが企業の認知や応募判断に関わる場合があるということです。すべての候補者の応募行動を左右しているとまでは言えません。
日本を含む7か国と米国の調査では、AIの利用と回答の誤りが報告されている
PerceptionX社が2026年5月に行った、日本を含む7か国の求職者306名(うちAI利用者295名)を対象とした調査では、72%が応募するかどうかを決める前にAIを使ったとされています。
また、58%が企業についてのAIの回答に誤りがあることに気づいた経験があると答えています。
ただし、72%と58%について、それぞれの設問に回答した人数は公表されていません。調査対象全体の306名を、そのまま各割合の分母として扱うことはできません。
一方、Gdoc.io社が米国の求職者500名を対象に行った調査では、36%が仕事探しにAIを使っていました(2026年8月19日公表)。
日本のItera調査との違いを整理すると、次のようになります。
調査 | 対象 | 測定している内容 | 結果 |
PerceptionX(2026年5月) | 日本を含む7か国の求職者306名。該当設問の回答者数は非公表 | 応募前のAI利用 | 72% |
Gdoc.io(2026年8月公表) | 米国の求職者500名 | 仕事探し全般でのAI利用 | 36% |
Itera(2026年8月) | 日本の転職活動者880名 | 生成AIへの質問による企業情報の収集 | 26.02% |
これらは対象者も設問も異なります。
例えば、72%と26.02%を比較して「海外では日本の約3倍使われている」とは言えません。PerceptionXの調査には日本も含まれており、設問の条件も異なるためです。
また、PerceptionXの58%は、回答者が誤りに気づいた経験を尋ねた結果です。生成AIの回答の58%に誤りがあるという意味ではありません。
生成AIの回答に古い情報や誤情報が含まれる可能性はありますが、その頻度や内容は、使うAIや質問によって変わります。
企業側では「採用LLMO」の支援サービスが登場している
ここまでの調査では、候補者の一部が生成AIで企業情報を調べ、応募や志望度の判断に使っていることが分かりました。一方、生成AIの回答には誤りが含まれることがあります。
こうした課題に対して、企業が生成AI上でどのように紹介されているかを確認し、公開情報を改善する支援サービスが登場しています。
この記事では、生成AIの回答に自社の採用情報が適切に使われるようにする取り組みを「採用LLMO」と呼びます。
LLMOはLarge Language Model Optimizationの略で、生成AIの回答に自社の情報が利用されやすくなるようにする対策の総称として使われています。AIO(AI Optimization)やGEO(Generative Engine Optimization)という呼び方もあります。
これらの呼称や対象範囲は、提供会社によって異なります。
採用LLMOに関連するサービスの内容は、主に次のように整理できます。
種類 | 主な内容 |
診断・監視 | ChatGPT・Gemini・Perplexityなどで、自社がどう紹介されるか、競合とどう比較されるか、誤った情報がないかを調べる |
コンテンツ制作 | 仕事内容、待遇、評価制度など、候補者が知りたい情報を記事・FAQなどにまとめる |
技術対応 | 求人ページの構造化データ、HTML、サイトのアクセス設定などを確認・改善する |
外部サイト対策 | 口コミサイト、ニュース、求人メディアなどの情報を確認し、修正依頼や情報発信を行う |
採用サイト用チャットボット | 自社サイトに訪れた候補者の質問に、企業が用意した情報をもとに回答する |
このうち、診断・監視、コンテンツ制作、技術対応、外部サイト対策は、外部の生成AIに自社がどう紹介されるかを確認・改善する取り組みです。
ただし、情報を修正・充実させても、外部の生成AIの回答が必ず変わるわけではありません。
また、採用サイト用チャットボットは、自社サイトに訪れた候補者への情報提供を目的とするもので、ChatGPTなど外部サービスの回答を直接改善するものではありません。
サービスを比較する際は、これらの目的の違いを確認する必要があります。
日本の採用LLMO関連サービスの例
国内で採用領域への対応を明示しているサービスの例として、株式会社CINCと株式会社マイキャリアの2社を紹介します。
どちらも採用向けのAI検索対策に関するサービス内容を公表しています。
会社 | サービス | 主な支援内容 |
株式会社CINC | AI検索最適化(GEO/LLMO/AIO)for 採用 | ChatGPT・Gemini・Perplexityなどでの紹介状況や競合比較の分析、情報発信の設計、継続的な監視・効果測定 |
株式会社マイキャリア | 採用AIO支援サービス「worktalk」 | AIでの紹介状況の診断、誤情報への対策、採用コンテンツ・FAQ制作、サイト情報の構造化、直接応募への導線改善など |
CINCは2026年6月3日に、採用向けのAI検索最適化サービスの提供開始を発表しています。
マイキャリアは、自社の採用サイトについて、生成AI経由の流入と応募数が増加した実績を自社運営のランキングページで公表しています。ただし、ほかの施策の影響を切り分けたものではありません。
また、同社のサービスページには、採用AIOを標準提供する以前の直接採用支援の実績が一部含まれる旨の注記があります。
具体的な数値とその解釈については、後半の「採用LLMOの応募増加効果をどう判断するか」で確認します。
採用LLMOにはどのくらいの費用がかかるのか
国内で紹介した採用領域向けの2社については、公開料金を確認できませんでした。
参考として、一般的なAI検索対策の費用について、クーミル株式会社が2026年8月に公表した目安を紹介します。
これは採用LLMOだけを対象にした料金ではなく、支援会社1社が公開した参考情報です。
区分 | 参考価格 | 備考 |
簡易診断 | 無料〜10万円 | 対象の質問やページを限定した調査 |
診断 | 10〜50万円 | 現状分析や課題整理 |
コンサルティング | 月15〜80万円 | 継続的な分析・改善支援 |
記事制作・書き直し | 1記事5〜20万円 | コンテンツの制作・改修 |
サイトの技術対応 | 30〜150万円 | 構造化データやHTMLなどの改善 |
監視ツール | 月1〜10万円程度 | AIでの紹介状況の監視 |
料金は、対象とするAIの種類、調査する質問数、コンテンツ制作の有無、契約期間などによって変わります。
また、コンサルティングと監視ツールでは、任せられる作業が大きく異なります。費用だけでなく、サービスの範囲を確認する必要があります。
海外のAI可視性・採用ブランド監視ツール7種類と料金
英国の採用業界メディアOnrecは、2026年9月21日に、採用担当者が利用できるAI可視性・雇用主ブランド監視ツールについて比較記事を公開しました。
同記事の主要比較表で紹介された7製品は次のとおりです。
料金は2026年9月15日時点にOnrecが確認した公開情報に基づいています。Onrecは各製品の有料版を使った実機比較を行ったわけではありません。現在の契約料金を保証するものではないため、導入時には各社の公式情報を確認する必要があります。
ツール | 主な特徴 | Onrec掲載の開始価格 | 注意点 |
Beamtrace | AIによる企業の紹介状況を確認し、競合比較や改善の優先順位を整理する | 月20ドル(年払い) | 開始プランはChatGPTのみ |
Waikay | AIの回答と企業が保有する正しい情報を比較し、相違を確認する | 月24.95ドル | 利用量に応じた制限がある |
Profound | 社内の正確な情報とAIの回答を照合し、誤った情報や参照元を調べる | 月99ドル(年払い) | 開始プランはChatGPTのみ |
HubSpot AEO Grader | AI上での企業の紹介状況や評価を確認する | 無料。継続監視は月50ドル | 無料版は単発の診断 |
Brandlight | AI回答に影響する外部メディアや情報源を分析する | 問い合わせ制 | 一般公開の定額料金はなし |
Semrush | SEOとあわせて、AI検索での表示や引用状況を分析する | 1ドメイン月99ドル(年払い) | 契約条件や機能範囲の確認が必要 |
Peec AI | AIの回答で参照された情報源や競合の表示状況を分析する | 月85ユーロ | 利用できるモデル数や機能に条件あり |
この表では、監視の対象、提供機能、料金体系が異なるサービスを並べています。
例えば、無料の単発診断と毎日の継続監視では用途が違います。年払いが条件の料金もあるため、月額表示だけでは総額を比較できません。
Onrecの記事では、これらの7製品とは別に、外部メディアへの掲載や情報修正に取り組むNobleも追加紹介されています。Nobleは監視ツールとは役割が異なり、月2,000ドルからの予算が案内されています。
ほかにも、採用領域に関連したサービスがあります。
米国の求人メディアBuilt Inは、AIが企業を働く場所としてどう紹介しているかを分析するサービスを提供しています。
Visiblie社は、生成AI上での企業の評判や社風に関する回答を監視し、外部サイトでの情報発信などを支援しています。
英国のHireful社は、採用サイト上で候補者の質問に答えるAIチャットボットを提供しています。公開情報では、従業員500名以下の場合に初期費用1,000ポンド、年間ライセンス500ポンドという料金が示されています。
ただし、この採用サイト用チャットボットは、外部の生成AIでの紹介状況を改善する監視ツールとは目的が異なります。
採用LLMOの支援サービスは何を基準に選ぶべきか
支援サービスを比較する際は、料金より先に、自社が何を確認・改善したいのかを整理します。
例えば、「生成AIが自社をどう紹介しているかを把握したい」のであれば、手作業での確認や監視ツールから始められます。
一方、「採用サイトの情報を整理したい」「社員インタビューやFAQを制作したい」という場合は、コンテンツ制作やコンサルティングを含むサービスが対象になります。
また、外部サイトに古い情報や誤りが多い場合は、参照元の調査や修正依頼など、外部情報への対応が必要になることもあります。
比較時には、対応する生成AIと調査する質問の範囲、情報の修正・制作まで含むかどうか、追加費用、契約期間、成果指標を確認します。
生成AIに自社名が表示される回数が増えても、それだけで応募数が増えるとは限りません。何を改善し、どの指標で成果を判断するかを導入前に決めておくことが重要です。
採用LLMOの応募増加効果をどう判断するか
今回確認した範囲では、採用LLMO支援によって応募数が増加した効果を、第三者が検証したデータは見つかりませんでした。
公開されている実績の中には、AI経由の流入数や応募数が増加したというものがあります。しかし、その増加が採用LLMOだけによるものなのか、ほかの採用施策の影響もあるのかを分けて確認する必要があります。
公表されている実績とその限界
マイキャリアは、自社採用サイトで約2か月間に生成AI経由の流入が月36件から114件へ、応募数が6名から10名へ増加したと公表しています。
ただし、この数字は同社が運営し、自社を1位に掲載しているランキングページで公表したもので、ほかの施策の影響を切り分けた結果ではありません。採用AIOだけによる効果とは判断できません。
また、海外のVisiblie社が公表している「6週間で問い合わせ39%増」という数字は、採用ではなく営業領域の事例です。
これらを、採用LLMOを導入すれば同じ成果が出るという根拠にはできません。
候補者が生成AIを利用していることを示す調査データと、採用LLMOによって応募が増えたことを示す効果検証も、別のものです。
技術的な対策にも限界がある
採用LLMO関連の情報では、llms.txtというファイルが紹介されることがあります。
llms.txtは、サイトの情報をAIに参照してもらうことを意図して、ページの案内などをまとめるための提案形式です。
ただし、主要な生成AIの検索機能がこのファイルを正式に利用していると確認できる根拠は、今回の調査範囲では十分に見つかりませんでした。
そのため、llms.txtを設置すれば生成AIでの表示が改善すると断定することはできません。
また、生成AIの回答は、質問文、利用するサービス、時期によって変わります。監視ツールの評価点数も、どの質問を使って測定したかによって結果が変わり得ます。
ツールの点数だけで成果を判断せず、候補者が知りたい情報を正しく確認できるかも見る必要があります。
支援サービスを導入する前に、自社の紹介状況を確認する
採用LLMOの支援サービスを導入する前に、まず自社が生成AIでどう紹介されているかを確認する方法があります。
ChatGPT・Gemini・Perplexityなどで、例えば次のような質問をします。
- 「〇〇社はどのような会社ですか?」
- 「〇〇社の仕事内容や働き方はどうなっていますか?」
- 「〇〇社の評価制度や給与について公開情報はありますか?」
- 「〇〇社と△△社の違いは何ですか?」
質問した日付、利用した生成AI、質問文、回答内容、表示された参照元を記録します。
そのうえで、古い情報や事実と異なる説明がないかを確認します。
誤りが見つかった場合は、まず自社の採用サイトや求人票に正しい情報が載っているかを確かめます。外部サイトが情報源になっている場合は、修正を依頼できるか確認します。
ただし、公開情報を修正しても、生成AIの回答が必ず変わるわけではありません。
定期的に同じ質問を使って確認すれば、回答の変化を比較する材料になります。
候補者が知りたい情報を採用サイトや記事でどう伝えるか、採用コンテンツをどう制作・更新するかについては、以下の記事で解説しています。
📄 関連記事:採用広報とは?生成AIで企業を比べる候補者に向けた、採用コンテンツの作り方【2026年版】
まとめ
株式会社Iteraの2026年8月の調査では、過去1年以内に転職活動をした880名のうち、26.02%が生成AIに質問して企業情報を集めていました。GIGの調査でも、35歳以下の中途候補者118名の30.5%が企業調査にAIを利用していました。ただし、調査対象や設問が異なるため、これらを日本の転職者全体の利用率として一般化することはできません。
候補者が生成AIで調べるのは、企業の事業内容・評判、年収・待遇、働き方、面接などの情報です。生成AIは新しい企業を知るきっかけや、応募・志望度の判断に使われる場合もあります。一方で、回答に誤りが含まれることも報告されています。企業としては、採用サイトや求人票で正確な情報を提供し、候補者が事実を確認できるようにしておくことが重要です。
採用LLMO関連の支援サービスは登場していますが、サービスによって支援内容と料金は異なり、今回確認した範囲では応募増加への効果を第三者が検証したデータも見つかりませんでした。導入を検討する場合は、まず自社が生成AIでどう紹介されているかを確認し、改善すべき情報と成果の測り方を整理することから始めましょう。
弊社お問い合わせ窓口
株式会社プロリクは、AIを活用した採用支援や採用業務の効率化を支援しています。
生成AIの普及によって候補者の情報収集や企業選びが変化するなか、採用活動においても、候補者に伝える情報の整理や適切なコミュニケーションが重要になっています。
採用活動の見直しやAIを活用した採用業務の改善をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
よくある質問
Q. 転職者のうち、生成AIで企業を調べている人は何割ですか?
株式会社Iteraが2026年8月に行った調査では、過去1年以内に転職活動をした880名の26.02%が、生成AIに質問して企業情報を集めていました。生成AIまたはGoogle検索上部のAI要約で企業情報を調べた人は35.7%でした。GIGの調査では、35歳以下の中途候補者118名の30.5%が企業調査にAIを使っていました。ただし、対象者と設問が異なるため、日本の転職者全体の利用率とは言えません。
Q. 生成AIは口コミサイトより使われていますか?
Iteraの調査では、生成AIに質問した人は26.02%、口コミサイトを利用した人は12.50%で、生成AIへの質問が約2倍でした。同じ調査では、企業の公式サイトを確認した人は34.32%、転職サイトやエージェントなどの求人情報を使った人は48.64%でした。
Q. 候補者は生成AIで企業の何を調べていますか?
Iteraの調査では、AI経由で企業情報を調べた314名のうち、事業内容・評判が59.24%、年収・待遇の相場が53.82%でした。また、PerceptionXの日本を含む7か国の調査では、面接準備、働く会社としての評判、働く実態、企業の比較などが挙げられています。
Q. AIの回答をもとに応募を見送る候補者はいますか?
GIGの2026年7〜8月の調査では、AIで企業情報を調べた中途候補者の52.8%が、回答をもとに応募しないと判断したことがあると答えています。ただし、分母は割合から概算すると約36名と少数です。同じ調査では、55.6%がAIの回答を確かめるために公式サイトや採用サイトを調べていました。
Q. 生成AIは企業について間違った情報を答えることがありますか?
あります。PerceptionXの日本を含む7か国の調査では、58%が企業についてのAIの回答に誤りがあることに気づいた経験があると答えています。ただし、この数字はAIの回答の58%が誤っているという意味ではなく、該当設問の回答者数も公表されていません。
Q. 採用LLMOとは何ですか?
この記事では、生成AIの回答に自社の採用情報が適切に使われるようにする取り組みを「採用LLMO」と呼びます。関連サービスには、AIでの紹介状況の診断・監視、採用コンテンツ制作、技術対応、外部サイト対策などがあります。採用サイト用チャットボットも関連サービスの一つですが、外部の生成AIの回答を直接改善するものではありません。
Q. 採用LLMOの支援サービスにはどのような会社があり、料金はいくらですか?
国内の採用領域向けサービスの例として、株式会社CINCと株式会社マイキャリアがあります。今回確認した公開情報では、両社の料金は確認できませんでした。一般的なAI検索対策について、クーミル株式会社が公表した参考価格では、診断が10〜50万円、コンサルティングが月15〜80万円とされています。海外には月20ドル台から利用できる監視ツールもありますが、提供範囲が異なるため単純には比較できません。
Q. 採用LLMOを導入すると応募数は増えますか?
導入しただけで応募数が増えるとは限りません。今回確認した範囲では、採用LLMOによる応募増加効果を第三者が検証したデータは見つかりませんでした。マイキャリアは、自社採用サイトで約2か月間に応募数が6名から10名へ増えたと公表していますが、ほかの採用施策の影響は分けていません。導入効果を判断するには、AI経由の流入と応募数などを継続して確認する必要があります。
参考文献、資料
- 株式会社Itera「転職活動における企業情報の収集方法に関する調査」(2026年8月26日実施・インターネットリサーチ・全国の22〜65歳の会社員5,000名のうち過去1年以内に転職活動をした880名): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000177930.html
- 株式会社GIG「AI時代の採用コミュニケーション実態調査2026」(2026年7〜8月実施・インターネット調査・直近半年以内に就職・転職活動をした236名〈新卒118名・35歳以下の中途118名〉): https://goworkship.com/magazine/ai-recruiting-communication-survey-2026/
- 株式会社CINC「生成AIは求職者の企業選びをどう変えているのか?就職・転職活動における生成AI利用の実態」(2026年8月7日公表。調査1:2026年5月19〜20日・1,296名〈新卒554名・中途742名〉、調査2「就職・転職活動での生成AI利用による意識・行動変化に関する実態調査」:2026年5月25日〜6月1日・生成AIを活用した770名。インターネット調査・20〜49歳): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000492.000019378.html
- 株式会社マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(2025年12月18〜25日実施・インターネット調査・正社員として働く20〜50代のうち2025年に転職した1,446名・2026年3月23日公表): https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260323_108572/ 生成AIの影響はPDFのQ19(p.49〜50): https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tenshoku_report_20261021.pdf
- PerceptionX「How Job Seekers Use AI to Research Employers」(2026年5月・Prolificで集めた7か国306名〈うちAI利用者295名〉。AIへの質問の種類の設問は157名): https://www.perceptionx.ai/research/ai-candidate-usage
- Gdoc.io の求職者調査(米国の求職者500名・2026年8月19日公表。36%は記事の見出しの数字): https://techrseries.com/employee-engagement/36-of-job-seekers-use-ai-in-their-search-and-half-never-tell-employers/
- 株式会社CINC「AI検索最適化(GEO/LLMO/AIO)for 採用」提供開始のお知らせ(2026年6月3日): https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000483.000019378.html
- マイキャリア株式会社「採用AIO支援サービス worktalk」: https://my-career.co.jp/service/recruit-aio/
- 採用LLMO支援会社のランキング(マイキャリア株式会社運営・2026年10月15日公開・同社が1位に掲載。同社の自社採用サイトでの実績の出典): https://my-career.co.jp/company-navi/best-company-22-saiyo-llmo-shien/
- クーミル株式会社「AIO・LLMO対策の費用相場は?料金内訳と会社の選び方」(2026年8月19日): https://coomil.co.jp/column/llmo-cost/
- Onrec「7 Best AI Visibility and Employer-Brand Monitoring Tools for Recruitment Teams」(2026年9月21日): https://www.onrec.com/news/hr-recruitment-tech/7-best-ai-visibility-and-employer-brand-monitoring-tools-for-recruitment
- Built In「AI Employer Brand Intelligence」: https://builtin.com/artificial-intelligence/ai-employer-brand-intelligence
- Visiblie「AI Visibility for Employer Branding」: https://www.visiblie.com/solutions/employer-branding
- Hireful「Careers Site AI Chatbot」: https://www.hireful.com/careers-site-ai-chatbot
- Joveo「How to Optimize Your Career Site for AI Search (GEO): A Practical Guide」(2026年7月22日): https://www.joveo.com/blog/career-site-geo-ai-search-optimization/