生成AIの技術革新は日々その速度を増し、既存の事業運営や働き方そのものに、根本的な変革を迫っています。
以前の記事(【決定版】AHRとは?)では、この激動の時代においてAIを「ツール」ではなく「経営資源」として捉え直す、私たちの新しい思想「AHR(AI and Human Resources)」の定義について説明しました。
この記事は、その定義を理解し、「では、具体的にAHRとは何をするのか?」という、より深く具体的な内容を知りたい方に向けて書かれています。
本稿では、AHRという思想を組織に実装するための核心、「3つの主要ファンクション(機能)」について、具体的なステップを解説します。
AHRとは?
AHR(AI and Human Resources)とは、企業の経営課題に向き合う組織能力を充足させるため、AI資源と人的資源を経営資源として設計・運用・再配分する、株式会社プロリクが2025年6月に提唱した実践フレームです。従来のHRが人的資源のみを扱ったのに対し、AHRはAIを人と並ぶ「経営のコア資源」と捉え、組織能力獲得を目指す考え方です。
📄 詳細記事: 【決定版】AHRとは?-人とAIの働き方をリデザインする
この記事の要点(TL;DR)
- AHRの3つのファンクション:
- 経営課題から逆算したAIと人の最適配分(初期設計)
- AIファーストの業務プロセス再設計と実装(詳細設計と実行)
- AI資源と人的資源の継続的評価とリバランス(運用と進化)
- 成功の鍵: まず「クイックウィン(小さな成功)」から始め、段階的に拡大していくこと。「いきなり全社AI化」は失敗のもと
AHRが担う3つのファンクション
具体的にAHRはどのような役割を担うのでしょうか。ここでは、その3つの主要な機能について解説します。
ファンクション1:経営課題から逆算したAIと人の最適配分
まず機能の一つ目として、まず企業がどのような経営・事業課題があり、そのためにどのような組織能力が必要とされているのか?そして、ボトルネックになっているものは何であるかを特定し可視化することです。
ここで言う、組織能力とは、経営課題に対して一定の品質で再現性高く実行できる「組織としてのできること」を指して用いています。ある研究では、組織能力は「経営資源(人材・資本・データ・設備など)」と「それらを動かすプロセス」、そして「企業の価値判断基準」の三位一体で形成されると定義されており、資源の有無だけでなく、資源をどうプロセスとして再現性ある形で用いるのか、またそもそもどういう方向でどのように資源を用いてプロセス化するのかという優先順位を決定する基準を兼ね備えたものであるとされています。
したがって、組織能力を充足させるために、AHRではどういう資源(人材・資本・データ・設備など)を活かし、どういう業務プロセスに落ちるのかを詳細に分解し、「どのプロセスをAI化できるか」、その上で「どのプロセスを(現時点では)人が担うべきか」を定義するという流れとなります。 1つのファンクションとは言え様々なものが内包されているため、少し細かくそのステップを説明していきたいと思います。
ステップ1:経営課題の理解
まず1つ目のステップとして、「自社のX年後のありたい状態を目指す上で、今何が一番問題か?」という経営課題を把握します。例えば、「新規顧客の獲得が伸び悩んでいる」「既存事業の利益率が低下している」「エンジニアの採用が間に合わず、新規事業が開始できない」といった、経営に直結する課題のことを指しています。
まずはこの経営課題を明確に認識することが重要です。「AIで効率化するには?」という手法論、方法論から飛びついてしまうと手段が目的化し、効率化そのものを目的としたツール思考に陥りやすくなります。ツール思考ではなく経営視点で考えることを出発点にすることが重要です
ステップ2:経営課題を実現するための組織能力の定義
次に、なぜ経営課題が発生しているのかを考えてみると、それは多くの場合、組織体として「何かを実行するための能力」が不足している、あるいは十分に機能していないからこそ、そのような課題が表出していると考えられます。このような組織全体として物事を推進する力、組織として再現性高く実行可能な能力のことを「組織能力」と呼びます。
ここで改めて組織能力の構成要素を示しますが、組織能力とは「経営資源(人材・資本・データ・設備など)」と「それらを動かすプロセス」、そして「企業の価値判断基準」の3つの車輪が噛み合って形成されていくものです。したがって、営業力という組織能力がどういうものであるべきかは、経営資源、プロセス、判断基準を一つずつ紐解き統合的に整理、定義をする必要があるということです。例えば、「新規顧客の獲得が伸び悩んでいる」のは、「営業力」という組織能力の不足であるとした場合も、それを分解して、「見込み客リストを効率的に作成する人や能力」、「作成したリストに対し、効果的なアプローチを行うことができる再現性あるプロセス」、「何を持って洗練された営業プロセスであるとするか(データドリブンなプロセスを良しとするのか、強固な精神論に支えられた長時間労働を良しとするのか)という価値基準」等といったより具体的な整理に変わっていきます。
このように、経営課題を解決するためには、具体的にどのような組織能力が自社として必要なのか?を定義することが、2つ目のステップです。
ステップ3:組織能力を充足させるためのAI配分
3つ目のステップは、得たいと考えている組織能力をAIとHRの両軸で思考し、その配分を考えていくこと、その中でもまずはAIという資源をどう配分していくかを考えることです。 例えば、従来のHRでは、「営業力」という組織能力を獲得するために、「フィールドセールスを2名採用する」または「フィールドセールスの2名枠を他の部署から配置換えする」といったような人的資源配分の意思決定をしてきたわけです。それをAHRの考え方に置き換えると、「営業力」という組織能力を獲得するために、まずAIで出来ることは何か?どういうプロセスをどのようなAIで自動化すれば、その営業的な資源を獲得したことになるのか?を考えていくことになります。一例を出すと、「提案書作成における9割の業務はAI資源に任せ、残り1割の最終レビューだけを人間が担当する」といった、AIと人の最適なリソース配分を考えていく、ということです。
ここで重要なことは、AIファーストでその配分を思考し始めるということです。「営業力」のような組織能力が必要であった時に、それを充足させるためにまずAIで何ができ、どこまでの価値を創出することができるか?を見積もるのです。
組織能力は先程も書いた通り、「経営資源」と「プロセス」、「価値判断基準」で形成されます。その定義に沿った上で、そもそも現在の営業プロセスがどのようになっていて、何がボトルネックであるかを把握し、それをAIで自動化するとどれほどの効果があるのかを、様々な方法論を用いて整理し、考えていくという流れとなります。
例えば業務プロセスを分析し、可視化していく方法は様々ありますが、一例としてSIPOC(サイポック)と呼ばれるような業務可視化手法があります。Supplier(供給者)、Input(インプット)、Process(プロセス)、Output(アウトプット)、Customer(顧客)の頭文字をとったフレームワークですが、今営業プロセスが誰から誰にどのような流れをしているのかを明確化することでプロセスの把握の助けになります。次に、整理された個々の業務に対し、業務量(各業務にかけている時間)の測定を行うことで、ボトルネック(=最も時間がかかっている業務)が特定されます。その上でボトルネックを自動化した時にどの程度の期待値があるかを見積り、AIによって自動化することを意思決定する、という流れとなります。
なお、ボトルネックを解決することの期待値は時間・工数を減らせることですが、もう一方で、何かが増えるという側面での評価も必要です。当該業務を自動化することで、どういう経営数値へのインパクトがあるか、何かの転換率やKPIがどの程度上昇するのか、といった機会創出の観点での評価も重要です。
両面での評価を経て特定されたボトルネックのプロセスが、AIファーストで考える「自動化対象」の候補となります。
ステップ4:組織能力を充足させるための人の配分
AIでの自動化が決まると、次は人的資源の配分を考えていくことになります。
もう少し正確に言うと、組織能力の構成要素である、「経営資源」、「プロセス」、「価値判断基準」、このうち、「人間」が「どのプロセス」を実施するのか、を策定するステップということです。ステップ3で既にAIが担当するプロセスは決定されていますので、残りのプロセスがどこで、それをどの部署が担当していくのかを決めていくこととなります。先の例で言うと、「営業力」という組織能力を獲得するために、「提案書の企画から作成までの9割をAI資源に任せ、残り1割の最終レビューだけを人間が担当する」というような役割分担を決めていくわけです。
また、ここまでステップが進んでいくと、人的資源は2つの観点で再定義することになると考えています。まず1つは、効率化によって実現した余剰を活用して人単位で見た時の業務の再設計をすることです。AIが9割の提案書ドラフト作成業務を担うことで、これまでその作業に費やされていた営業担当者の時間(例えば月間50時間削減)が余剰工数として空いてくることとなり、それをどう使うか、より価値が高く、本来実施すべきだった業務へと工数を配分するという見直しの議論が可能となるわけです。そしてもう1つの観点は人材要件です。仮にフィールドセールスを2名採用しようと考えていた時に、AIが提案書として形にするためのロジックの流れ、レイアウト設計、ワーディング、スライド作成までを担当した場合、採用すべきフィールドセールスは提案書作成に関わるスキルはあまり求めなくても良くなるかもしれません。これは採用に関わる話だけではなく、フィールドセールスのスキルの中でどの部分を本質的に社内で教育すべきなのか、どのような配置があるのか、そういった人材要件に関連する人的資源管理の再定義にもつながってくるわけです。
そのような再定義も踏まえた上で、人間が何を担うべきであるか?の配分を決めていくことが望ましいと言えます。
ファンクション2:AIファーストの業務プロセスの再設計と実装
ファンクション1では、経営課題から逆算したAIと人の最適な配分をしていく機能について説明していきました。これはAHRにおける全体設計と言えるステップとも言えます。次のファンクション2では、その全体的な設計をより詳細に落としていき、より具体的な業務に落とし込んでいくような機能だと定義し、その紹介をしていきたいと思います。
以下ステップ別にご説明をしていきます。
ステップ1:AIを前提とした業務プロセスの再設計(To-Be)
ファンクション1では大枠として、どのようなプロセスをAIで自動化し、それがどの程度経営インパクトの期待値があるのかを見極め、配分を策定しました。
その計画を実現するために実際にプロセスの自動化に挑戦していくことになるわけですが、ここで重要なのは「既存のプロセスをAIというツールでどう自動化するか?」という問いではありません。本質的に問うべきは、「AIが最も働きやすいプロセスはどういうものか?」です。
現状、おそらく人間が最も働きやすいプロセスで各社のプロセスは整えられているかと思いますが、既存のプロセスにあわせるとAIが働きやすい環境から遠ざかってしまうことが往々としてあります。本サイトで度々取り上げているPwCの調査ではまさに「業務プロセス自体を見直し、AIにあわせて業務そのものを新しく再定義すること」を実践しているかどうかで、成果に決定的な差が出ていることが示されています。成果の出ない「停滞企業」の多くは、この「業務組み込み」(実施率わずか14%)を行わず、AIを既存の「人間中心のプロセス」に無理やり当てはめようとして失敗しています。(多くの企業がこの「ツール思考」の罠に陥っていることが明らかにされた調査の詳細について、こちらの記事をご参照ください)。一方で「成功企業」(同72%)は、「AIが機能すること」を前提に、業務フローそのものを変革しているのです。
これがAHRのファンクション2の中核となる考え方です。古いプロセスにAIを足すのではなく、AIと人が協働するための新しいプロセス(あるべき姿)をゼロベースで設計します。
ステップ2:PoC(実証実験)とクイックウィン
ファンクション1はあくまで「設計」でした。このステップ2では、ステップ1で新しく設計した業務プロセス(To-Be)が、期待通りのROI(投資対効果)を生むのかを、PoC(実証実験)によって計測していきます。
なお、PoCを行う上で、特にAIの自動化に慣れていない企業は、まずは、AI活用の経験が豊富な人材や、外部AI企業のアドバイスを求めることが重要だと考えています。なぜなら、効果を生む再現性が高く、実現性が高いと明らかになっているタスク、スモールに始められるタスクを最初に選定することが重要だと考えているからです。
これは、社内での生成AIに対する期待値の目線の整理や、利活用の知見があまり蓄積されていない段階で、難易度が高い理想を掲げたプロジェクトを進めことはリスクが高いからです。生成AIの土壌がない組織で難易度が高いタスクに取り組むと往々にして失敗します。そして、そのようなリスクが高い取り組みが失敗してしまうと、全社の生成AIへの機運が削がれてしまいます。このような事態はできる限り避けたいものです。本来丁寧に進めることで成功するはずのプロジェクトが、すべて後ろ向きになり活動が止まってしまうことは本意ではないはずです。逸る気持ちを抑え、まずはクイックウィンと呼ばれる小さなタスク、成功確率が高いタスクからプロジェクトを開始し、その成果を確かめつつプロジェクトを進めていくことをおすすめします。(クイックウィンに関する詳細はこちらの記事をご参照ください)。
クイックウィンで組織の土壌を作った後はより難易度が高く、より本質的に経営インパクトが大きい業務のPoCへの取り組み、本投資に値するかどうかの意思決定材料を計測していくこととなります。
ステップ3:AI資源の実装(選定・導入)
小さく始めてAI化が投資に値すると判断できれば、「AI資源」の本格的な実装(導入)に移行していきます。 具体的には、ファンクション1,2で定義した要件、進めてきた数値や肌感に基づき、最適なAIエージェントやノーコードツール、AI SaaS等を選定・導入、あるいは内製開発を行います。
ここで注意すべきなのは、人事部門やDX部門、事業部門が個別最適でばらばらにツールを選定、導入していくのではなく、CoE的な組織としてのAHR部門が、全体最適の視点で組織能力向上に寄与するのか、という観点からツール選定と実装をしていくことが重要だと考えられます。このあたりの部門による違いの詳細は、また別記事で議論したいと思います。
ファンクション3:組織能力の継続的進化とリバランス
ファンクション1で設計し、ファンクション2で実装したAIと人の配分は、「一度決めたら終わり」ではありません。
AIの技術進化は極めて速く、半年前は「人間でなければ無理」だった業務が、今日ではAIエージェントで自動化可能になっている、ということが日常的に起きています。加えて、AI導入により「何が良い仕事か」「何が良いプロセスか」という価値基準そのものも変化していきます。
ファンクション3は、組織能力の三要素である、①経営資源、②業務プロセス、③価値判断基準のすべてを継続的に進化させる機能だと定義します。
改めて、組織能力は以下の三要素で形成されます。
要素 | 定義 | AI時代の変化 |
経営資源 | 人材・資本・データ・設備・AI | AI資源の追加と進化 |
業務プロセス | 資源を価値に変換する手順 | AI化による業務フローの変化 |
価値判断基準 | 何を「良い」とするかの基準 | 評価軸、報酬、文化の変化 |
ファンクション1-2では①②を中心に扱いましたが、ファンクション3では③価値判断基準も含めた三要素すべてを継続的に見直します。
ステップ1:経営資源の評価とリバランス
1-1:AI資源のモニタリングと効果測定
導入したAI資源が、期待通りのパフォーマンスを発揮しているかを継続的に計測します。
計測すべき指標例:
- 稼働率: AIエージェントが実際に稼働している時間の割合 - 精度: AIの出力が人間のレビューでどの程度修正されたか - 時間削減率: 該当業務にかかる工数が何%削減されたか - コスト削減額: 人件費換算でどれだけのコスト削減が実現したか - 経営KPIへの貢献: 売上や利益率など、経営指標への実際の影響
重要なのは、「AIを導入した」という事実ではなく、「AIが実際に価値を生んでいるか」を定量的に把握することです。
1-2. 技術進化のキャッチアップとリバランス判断
今現在も、AIの技術進化は驚異的な速度で進んでいます。OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiなど、主要なAIモデルは数ヶ月単位で大幅にアップデートされます。ファンクション1で「人間でなければ無理」であると判断した業務が、数カ月後には最新AIモデルで高精度に自動化可能になっている、ということが現実に起きています。
AHRでは、定期(例: 四半期)または不定期(例: 主要AIベンダーの大幅アップデートにあわせて)に以下を実施することをおすすめします。
■更新項目案:
1.技術トレンドの評価: 最新のAIモデル・ツールの性能評価 2.再配分の可能性検討: 「今のAI技術なら、どこまで自動化できるか?」の再評価 3.リバランスの意思決定: 費用対効果を踏まえた配分比率の見直し
■一例として:
- 2024年Q1時点: 「契約書レビューは弁護士資格者が必須」と判断 - 2024年Q4時点: 法務特化AIの精度が90%超に向上 -リバランス: 一次レビューをAI化し、弁護士は最終確認のみに集中
ステップ2: プロセスの継続的改善
ステップ1で再評価し再実装が必要だと判断されるAI資源が見つかるようであれば、具体的に業務プロセスに組み込み、業務をアップデートしていく必要があります。特に、業務プロセスの中で、ある部分まではAIで出来ていたが以降のプロセスは人間がやることになっていたプロセスは、再見直しをすることで自動化の可能性が高まります。
ステップ3:価値判断基準の要素の再定義
組織能力の3つの構成要素の1つである「価値基準」。ここでの価値基準とは、業務や事業の優先順位をどのように決定すべきかを考える基準となるものを指しています。価値基準を組織に浸透させる仕組みが何かを考えると、それは暗黙的または明文化された文化であり、また形として定義される人事評価制度だと考えています。
こういった価値基準が具体的に表出した要素は、AIによってアップデートしていく時代になってきています。
例えば、AIを活用して業務を劇的に効率化した社員を、どう評価するのか?良いとするのか?評価しないのか?それを制度とし文化とすることで、ひいては価値基準にも影響を与えていくものだと考えています。
また、価値基準を構成するものとして、組織文化(カルチャー)もアップデートの対象となると想定しています。既にいくつかの調査では、AI活用と組織文化への影響について議論されているものが見られます。どのような文化としたいかという企業側の側面と、影響を受ける社員側の側面の両面で適応していく必要がありそうです。このあたりも別途記事で議論したいと考えております。
まとめ:
AHRとは、経営課題を起点に「AIと人をどう組み合わせるか」を設計し、実装し、技術の進化に応じて見直し続ける、という一連の活動です。今回は3つのファンクションについて紹介しました。経営課題に必要な組織能力を定義し、AIと人の最適配分を設計するファンクション1。AIが働きやすい形に業務プロセスを再設計し、PoCと実装によって成果を再現可能な形に落とし込むファンクション2。そして、最後のファンクション3では、AIの進化と事業環境の変化に合わせて、①経営資源、②業務プロセス、③価値判断基準(評価制度・文化)を継続的に更新していくというものとなります。
これらの情報が皆様のご参考になれば幸いです。
株式会社プロリクは、AIと人材の両面に知見を持ち、設計から実装、運用までを一貫して支援します。
「うちの会社でAI活用は、何から始めるべきか?」 「組織能力を高めるために、どうAIと人を考えていけばいいかわからない」
など、AIと人でお悩みであれば、お気軽に無料相談からお問い合わせいただけると幸いです。
著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
AHRについてよくある質問
Q1. AHRの導入には、どのくらいの期間がかかりますか?
A.企業規模や対象業務により異なりますが、一般的な目安は以下の通りです:
クイックウィン(小さな成功): 2w〜2か月
- 例:スカウトメール自動化、議事録自動生成など
特定部門でのAI自動化体制構築: 6〜12か月
- 例:営業部門全体の業務プロセス再設計と実装
重要なのは、「全社一斉に始める」のではなく、小さな成功体験を積み上げながら段階的に拡大していくことです。
Q2. AHRとDX(デジタルトランスフォーメーション)の違いは何ですか?
A.以下のような違いがあります:
項目 | 従来のDX | AHR |
目的 | 特定業務や部門のデジタル化・効率化 | 人とAIのリソース配分による企業全体の生産性最大化 |
推進主体 | DX推進室、IT部門 | 人事を含めたCoE組織(全社を俯瞰する部門) |
課題 | 部門最適に陥りがち
経営課題との接続が弱い | 生成AIと全体最適を同時達成する知見者の不足 |
得られる成果 | 業務時間削減、コスト削減 | 経営計画推進に直結する資源配分の最適化 |
DXが「どうやってデジタル化するか」という視点だったのに対し、AHRは「経営課題を達成するたにどうAIと人をどう組み合わせるか」という視点です。
Q3. ファンクション3の「リバランス」は、具体的にどのくらいの頻度で行うべきですか?
A.たとえば以下のような頻度が想定されるのではないかと考えています。
【定期レビュー】
- 四半期ごと(3か月): AI資源のパフォーマンス測定と軽微な調整
【不定期レビュー】
- 主要AIベンダーの大型アップデート時: OpenAI、Anthropic、Googleなどが新モデルやサービスをリリースしたタイミング
技術進化が極めて速い領域(例:生成AI、AIエージェント)では、3か月情報をキャッチアップしないだけで、競合に大きく水をあけられるリスクがあるため定期のような期間を固定するのではなく、柔軟に対応していくことが望ましいと考えられます。
参考文献、資料
- 木下(2023)『ダイナミック・ケイパビリティのフレームワーク:資源ベース再構成の組織能力』