営業の人手不足は、募集の手数を増やせば解消する。この前提が成り立たない理由が、公開されている調査の数字に出ています。日本の営業職の75%は、12か月以内に転職する意思がないと答えています。募集に応じる可能性があるのは、残りの25%です。
一方で、採用する側は営業を減らすつもりでいません。AIツールを導入している大企業515社への調査では、今後3年以内に営業・顧客接点職種の採用が増えると答えた企業が30.9%で、減ると答えた16.4%の約2倍でした。
採用を増やしたい企業のほうが多く、応募する可能性がある人は25%にとどまります。本記事では、日本の回答者に絞った3つの調査を使って、この状態がなぜ続くのかと、採用担当者が何を先に決められるのかを整理します。出典・実施時期・回答者数を各節に記載します。
なお、人事機能全体を整理したい場合は、以下の記事をご参照ください。
📄 関連記事:【HR全書】HR(人事)とは?戦略人事とは?経営から逆算する人事機能の全体像
この記事の要点(TL;DR)
- 企業は営業の採用を減らすつもりではない: 今後3年以内に採用が増える職種領域として「営業・顧客接点職種」を挙げた企業は30.9%、減ると答えた企業は16.4%。対象はAIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業に限られます(doda・515名・2026年2月実施)
- それでも営業職の75%は、12か月以内に転職する意思がない: 転職の可能性が残るのは25%。内訳は条件次第では転職してもよい18%、12か月以内に転職する予定4%、現在探している3%(Salesforce・日本300名・2024年3〜4月実施)
- 日本の営業組織が挙げた課題の1位は「人員が足りない」: 2位は顧客のニーズ・期待の変化、3位は他社との競合(同)
- 採用できても定着するとは限らない: 2025年に転職した営業職203名のうち、57.1%が今後1年以内にまた転職活動をしたいと答えました(全体51.7%)。この203名は営業職全体ではなく、2025年に転職した人だけです(マイナビ・1,446名・2025年12月実施)
- 営業自身の49.3%が「営業はAIに代替される」と答えている: 同じ調査で、営業職の76.8%が「営業はリスキリングが必要になりそうな職種」と回答。ただし転職者全体1,446名で営業を挙げたのは13.9%で、回答者が自分の職種を挙げる偏りがあります(同)
- 生成AIは、転職活動の6場面すべてで営業への影響が全体より大きい: 転職するかどうかの判断で51.2%(全体42.7%)、入社先企業の決定で41.9%(全体33.6%)。書類作成や面接対策のような作業の場面より、進路を決める場面で差が開いています(同)
- 求人票は、候補者が生成AIに入力する文章としても使われる: 候補者が生成AIを使って企業を調べ、応募先や入社先を判断するまでの過程を、この記事では候補者AI体験(CAX:Candidate AI Experience)と呼びます。生成AIが処理しやすい情報は、具体的な事実が書かれている・文字として取り出せる・1か所にまとまっている・どこに出しても記述が一致している、の4条件を満たします。入社先を決める段階で41.9%が影響を受けている以上、応募前の公開情報だけでなく、面接後・選考中・内定後に渡す文書まで用意します
企業は営業の採用を減らすつもりはない
パーソルキャリアが運営するdodaが2026年2月25日〜26日に実施した「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査」(第1弾・求める人材の変化編、2026年3月公表)で、今後3年以内に採用人数が増えると考える職種領域として「営業・顧客接点職種」を挙げた企業は30.9%、減ると考える企業は16.4%でした。増えると答えた企業のほうが約2倍多い結果です。
今後3年以内に採用人数が増える職種領域 | 割合 |
データ・デジタル/IT企画系職種 | 48.0% |
業務改善・DX推進を担う職種 | 44.3% |
エンジニア・技術系職種 | 37.0% |
研究・専門職などの高度専門職 | 33.3% |
企画・戦略立案職種 | 31.3% |
営業・顧客接点職種 | 30.9% |
バックオフィス職種 | 25.6% |
クリエイティブ職種 | 23.2% |
現場業務中心の職種 | 20.7% |
定型・ルーティン業務中心の職種 | 14.6% |
減る職種領域では、定型・ルーティン業務中心の職種が40.2%で1位、バックオフィス職種が33.8%で2位でした。営業・顧客接点職種は16.4%で5位です。
この表で営業を上回っている「データ・デジタル/IT企画系職種」48.0%と「業務改善・DX推進を担う職種」44.3%の採用については、以下の記事で扱っています。
📄 関連記事:AI推進を担う人材はどう採用するか——企業が増やす職種と、候補者が転職先で確認していること【2026年版】
営業の人手不足が解消しない一番の理由は、転職市場に営業職が出てこないこと
企業が営業採用を増やそうとしている一方で、求職者側の事情は違います。Salesforceが2024年3月8日から4月18日にかけて実施した「State of Sales(セールス最新事情)第6版」の日本の回答者300名分の集計では、「12か月以内に転職する意思はない」と答えた営業職が75%でした。転職の可能性が残るのは、残りの25%です。うち18%は「条件次第では」という層です。
12か月以内の転職計画 | 日本 |
転職する意思はない | 75% |
条件次第では転職してもよい | 18% |
12か月以内に転職する予定 | 4% |
現在探している | 3% |
同じ調査で、日本の営業組織が挙げた課題の1位は「人員が足りない」でした。
順位 | 日本の営業組織の課題 |
1 | 人員が足りない |
2 | 顧客のニーズ・期待の変化 |
3 | 他社との競合 |
4 | 収益戦略が機能していない |
5 | 生産性が上がらない |
この設問は順位のみが公表されており、割合は表示されません。
つまり、日本の営業組織は人員が足りないと感じている一方で、その人員を供給するはずの転職市場には、営業職の25%しか出てきていません。 前の節のdodaの調査では、営業の採用を増やすと答えた企業が30.9%、減らすと答えた企業が16.4%でした。採ろうとする企業のほうが多く、同じ25%に複数の企業が同時に接触する状態です。
採用できても定着するとは限らない。転職した営業の57.1%が、1年以内にまた転職活動をしたいと答えている
マイナビが2025年12月18日〜25日に実施した「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(2026年3月23日公表)では、2025年に転職した営業職203名のうち57.1%が「今後1年以内にあらためて転職活動をしたい」と答えました。転職者全体では51.7%です。
調査の対象は、正社員として働く20〜50代のうち2025年に転職した1,446名で、2020年度国勢調査の正規雇用者構成比でスクリーニングしています。
今後1年以内の転職意向 | 営業(n=203) | 全体(n=1,446) |
現職とは違う業種で(異業種・同職種) | 26.1% | 19.9% |
現職とは違う職種で(同業種・異職種) | 17.2% | 14.2% |
現職とは違う業種、職種で | 7.9% | 7.3% |
現職と同じ業種・職種で | 5.9% | 10.2% |
転職活動をしたいと思わない | 42.9% | 48.3% |
営業は6つの職種区分で最も「また転職活動をしたい」が多く、次いでクリエイター・エンジニア53.2%、サービス職52.2%、企画・経営・管理・事務52.0%、コンサルタント・専門職48.2%、技能工・建築・土木45.2%でした。
なお、この数字の分母には注意が必要です。 この調査の母数は営業職全体ではなく、2025年に実際に転職した営業職の中でのアンケート回答です。前の節のSalesforce・日本300名は転職していない人を含む営業職一般で、母集団が違います。75%(転職の意思がない)と42.9%(また転職活動をしたいと思わない)を並べて比べることはできません。
この2つの数値を解釈すると、営業職は市場全般としては、転職市場に出てくる人は少ない(25%)。そして採用できた人も、1年以内に次を考えている割合が他職種より高い(42.9%がまた転職したい層)という状況です。なかなか採用枠が埋まりにくいという外部環境であることが見て取れます。
営業職はなくなるのか——営業自身の49.3%が「AIに代替される」と答えている
同じマイナビの調査で、営業職203名のうち49.3%が「今後、AIやロボットに代替されそうな職種」として営業を挙げました。76.8%が「今後リスキリングが必要になりそうな職種」として営業を挙げています。
リスキリングとは、いまの仕事を続けながら新しい技能を学び直すことを指します。
営業を挙げた割合 | 営業(n=203) | 全体(n=1,446) |
AIやロボットに代替されそうな職種 | 49.3% | 13.9% |
今後リスキリングが必要になりそうな職種 | 76.8% | 19.4% |
ただし、この2つの数字はそのままでは他職種と比べられません。理由は2つあります。
1つ目は、回答者が自分の職種を挙げる偏りがあることです。同じ設問で、クリエイター・エンジニア層は自分たちの職種であるITエンジニアを46.8%が「代替されそう」に挙げています(リスキリングが必要は59.6%)。企画・経営・管理・事務の層では、53.4%が管理・事務を挙げました。営業の49.3%も、この偏りの中にある数字です。他職種と横に並べるときは、転職者全体の回答(営業13.9%)と分けて読む必要があります。
2つ目は、時系列が取れないことです。「AIやロボットに代替されそうな職種」は2022年から2024年まで聞かれておらず、2025年が初回です。「リスキリングが必要になりそうな職種」で営業を挙げた全体の割合は、2022年18.7%、2023年17.6%、2024年19.3%、2025年19.4%とほぼ横ばいでした。
転職者全体1,446名が「AIに代替されそう」に挙げた職種の1位は管理・事務32.3%、2位はITエンジニア18.8%、3位はWEB・インターネット・ゲーム16.3%でした。営業は13.9%で、他職種の人から見れば代替されそうな職種の上位ではありません。営業がAIに代替されると最も強く考えているのは、営業自身です。
AIによって雇用がどう動いているかは、以下の記事で扱っています。
📄 関連記事:AIは本当に仕事を奪っているのか?
同じ調査は、転職活動の6つの場面それぞれについて、生成AIを使ったかどうかと、使った場合に生成AIの提案が判断や行動にどの程度影響したかを聞いています。営業は6場面すべてで、転職者全体より「影響した(計)」が高い結果でした。
生成AIが影響した(計) | 営業(n=203) | 転職者全体(n=1,446) | 差 |
転職検討(転職するかどうかの判断) | 51.2% | 42.7% | +8.5pt |
入社先企業の決定 | 41.9% | 33.6% | +8.3pt |
面接対策 | 39.9% | 34.6% | +5.3pt |
履歴書・職務経歴書の作成 | 39.4% | 34.5% | +4.9pt |
自己分析(強み・キャリアの棚卸し) | 38.9% | 33.3% | +5.6pt |
応募先企業の選定 | 30.5% | 26.8% | +3.7pt |
差が大きいのは、転職するかどうかを決める場面(+8.5pt)と、どこに入社するかを決める場面(+8.3pt)です。 履歴書の作成や面接対策のような作業の段階より、転職するかどうかと、どこに入社するかを決める段階で差が大きくなっています。入社先企業の決定では、営業の14.8%が「とても影響した」、27.1%が「まあ影響した」と答えました。
これらの割合は、営業203名全体に対する数字です。 設問は全員に「使ったかどうか」を聞き、使った人にだけ影響の度合いを聞く形ですが、公表されている集計は「使っていない」も1つの区分として同じ100%の中に入れています。転職検討での営業の内訳は、とても影響した23.2%、まあ影響した28.1%、どちらともいえない13.3%、あまり影響していない4.9%、全く影響していない1.5%、使っていない29.1%です(入社先企業の決定では使っていないが31.5%)。使った人だけを分母にした割合ではないため、生成AIを使った営業の中で見れば、影響したと答えた割合はこれより高くなります。
採用担当者から見ると、入社先企業の決定にもAIが影響を与えているということは認識すべき事実であると思います。内定を出したあと、候補者が生成AIに条件や口コミを整理させたうえで返事をしている、という場面が4割あるということです。 求人票や面談で伝えていない情報、またそれまでの統合した情報をAIに読み込ませ、比較検討をさせた上で、最終意思決定をしているということです。
なお、6場面のうち転職検討で営業を上回る職種はなく(クリエイター・エンジニア50.9%が最も近い水準)、入社先企業の決定ではクリエイター・エンジニア43.1%が営業41.9%をわずかに上回っています。ITエンジニアが転職先を何で選んでいるかは、以下の記事で扱っています。
📄 関連記事:生成AI時代、ITエンジニアは何を見て転職先を選ぶのか|6つの公開調査で見る転職動機と採用要件の変化【2026年版】
候補者が生成AIを使う前提で、企業は何を用意するか
営業では、選考が進むほど「生成AIが影響した」という回答が増えます。 応募先企業の選定30.5%、履歴書・職務経歴書の作成39.4%、面接対策39.9%、入社先企業の決定41.9%。転職するかどうかを決める段階の51.2%を除くと、最も高いのは入社先を決める段階です。
候補者は、求人票や自社サイトの文章を生成AIに入力し、要約させたり、他社の求人と並べて比較させたり、疑問への回答を作らせたりしています。企業が書いた文章は、候補者がそのまま読むだけでなく、生成AIへの入力にも使われます。
候補者体験(CX)とは別に、候補者AI体験(CAX)があるという考え方
採用の分野では、選考の中で候補者がどのような扱いを受けたかを候補者体験(CX:candidate experience)と呼んできました。面接官の対応、連絡の速さ、選考の進め方。どれも候補者本人が直接受け取るものです。
生成AIが入ると、企業が出した情報は候補者本人だけでなく、候補者が使う生成AIにも渡ります。候補者が生成AIを使って企業の情報を集め、比較し、応募先や入社先を判断するまでの過程における体験を、この記事では候補者AI体験(CAX:Candidate AI Experience)と呼びます。
CXは、候補者本人が判断しやすい形で情報を出すという考え方ですが、候補者AI体験(CAX)は、候補者が使う生成AIの体験がよい情報の提供をすべきであるという考え方です。AIが処理しやすい形式、解像度の情報を出すべきであるということになります。
まず、生成AIが処理しやすい情報が満たす条件を4つに整理します。そのうえで、選考のどの段階で何を用意するかを見ます。
生成AIが処理しやすい情報の4条件
A. 具体的な事実が書かれている
生成AIは、文章に書かれていないことを要約も比較もできません。「風通しが良い」「裁量が大きい」は、要約しても同じ表現のままで、他社との比較にも使えません。営業職の求人であれば、担当する顧客の規模、新規と既存の比率、商談から受注までの期間、何を基準に評価するか、どの業務をAIに任せているかといった粒度で、解像度高く情報を書き出すべきです。
B. 文字として取り出せる
候補者が生成AIに入力できるのは、文字として取り出せる情報だけです。次の3つは、候補者が入力しようとしても中身が渡りません。
- 文字が画像として埋め込まれたPDFや会社紹介スライド。読み取れないことがあります
- ログインしないと読めないページ。候補者がURLを渡しても、生成AI側は開けません
- 動画や音声だけで説明している内容。文字起こしを併せて置かないと残りません
採用サイトを画像中心で作っている場合、そこに書いたことは候補者の生成AIには渡っていません。同じ内容を文字で置き直す必要があります。
C. 1か所にまとまっている
社員インタビュー、技術ブログ、プレスリリース、代表の発信。採用に関する情報が複数の場所に散らばっている企業ほど、候補者は全部を集められません。候補者が1つ入力すれば済む形にまとめます。生成AIが企業名だけで回答を作ると、古い情報や同名の別会社が混ざりますが、まとめた文書があれば、その中の情報が使われます。
D. どこに出しても記述が一致している
求人票、自社サイト、口コミサイト、面談での説明が食い違っていると、生成AIは食い違いをそのまま出力します。人が読めば気づかない程度の差でも、要約や比較の過程では違いとして残ります。給与レンジ、想定残業時間、配属先、評価の基準は、公開しているすべての場所で数字を揃えます。
選考のどの段階で、何を用意するか
① 応募前——求人票と自社サイト、採用ピッチ資料の文字版と、採用記事の一覧
候補者が最初に入力するのは、公開されている情報です。求人票や企業HPはもちろんのこと、採用HP、採用ピッチ資料、インタビュー記事のような採用コンテンツがこのフェーズで文字化されている必要があります。例えばHPやピッチ資料は人が読むことを前提にし、図と写真で見せることを前提に作られています。同じ内容を見出しと本文だけの文書である必要があります。事業の内容、組織図と人数、評価制度、給与テーブル、入社後3か月の業務。図で示していたものは、数字と文章に置き換えます。また、採用に関するコンテンツ記事群は、URLの一覧と各1〜3行の要約を1つの文書にまとめます。このようなAIに優しい情報を整理し、応募時やスカウト送信時に、情報を格納したGoogleフォルダのリンクを貼り付け利用をおすすめすることで、候補者AI体験を向上させることができると考えられます。
② 面接後——面接のAI議事録
面接の録音からAI議事録を作っている企業は増えていると思います。そのAI議事録の記録を、そのまま候補者にも渡すことをお勧めします。候補者は面接で聞いた話を記憶とメモから再現して生成AIに入力することになりますが、抜けや取り違えが起きます。企業側が作った記録をそのまま渡せば、候補者の生成AIに入るのは正確な内容になります。面接は候補者と面接官が交わした会話です。企業にとっては開示済みの情報で、候補者にとっては既知の情報なので、そのまま渡して問題ないと想定されます。
③ 選考中——採用ピッチ資料の文字版と、採用記事の一覧
採用ピッチや採用記事の中でも、特に選考中に求められる情報を提供します。 評価制度や給与制度などやや繊細な情報がこのフェーズに求められやすいですが、その辺りの情報を透明性を持って渡すことで、AIでの比較検討に非常に有利に推薦をしてもらえる環境を作ることができると想定されます。
④ 内定後——条件をまとめた文書
入社先を決める段階が41.9%で最も高い以上、内定を出したあとが最後の場面になります。給与、賞与の算定方法、想定残業、配属先、担当する顧客、初年度の目標、評価のタイミング。口頭やオファー面談だけで伝えている条件は、候補者が生成AIに入力する時点で抜けます。候補者は複数社の条件を並べて比較させるので、書いていない項目はその比較に入りません。
まとめ
- 企業は営業の採用を減らすつもりではない。増えると答えた企業30.9%、減ると答えた企業16.4%(doda・515社・2026年2月)
- それでも営業職の75%は12か月以内に転職する意思がなく、可能性が残るのは25%(条件次第18%+転職予定4%+現在探している3%。Salesforce・日本300名・2024年3〜4月)
- 日本の営業組織の課題の1位は人員不足(同)
- 採用できても定着するとは限らない。2025年に転職した営業の57.1%が1年以内にまた転職活動をしたいと回答(マイナビ・203名・2025年12月)
- 営業自身の49.3%が「営業はAIに代替される」と考え、76.8%がリスキリングが必要と答えている。転職者全体では13.9%・19.4%(同)
- 生成AIの影響は、転職活動の6場面すべてで営業が全体を上回る。入社先企業の決定は41.9%で、全体33.6%より8.3ポイント高い(同)
- 候補者AI体験(CAX)を重視し、適切な対応を行う。フェーズごとで最適な情報をAI向けに提供することで、候補者の意思決定を能動的に支援することができる。
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株式会社プロリクは、IT人材向け採用代行及び、そのデータとノウハウをもとに独自AIスカウトプロダクトを開発している会社です。もし、貴社でお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
よくある質問
Q: 営業の人手不足はなぜ解消しないのですか? 転職市場に営業職が出てこないためです。Salesforceが2024年3〜4月に実施した調査の日本の回答者300名では、75%が「12か月以内に転職する意思はない」と答え、転職の可能性が残るのは25%(条件次第では転職してもよい18%+12か月以内に転職予定4%+現在探している3%)でした。一方でdodaの2026年2月の調査では、今後3年以内に営業・顧客接点職種の採用が増えると答えた企業が30.9%、減ると答えた企業が16.4%です。採ろうとする企業のほうが多く、募集に応じる可能性がある人は25%にとどまります。
Q: 営業の採用が難しいのは、給与や条件の問題ですか? 条件次第で応募する層は限られます。Salesforceの日本300名では「条件次第では転職してもよい」が18%、「転職する意思はない」が75%でした。条件を上げて応募につながる可能性があるのは18%までで、75%は条件を変えても応募しません。またマイナビの調査では、2025年に転職した営業職203名の57.1%が1年以内にまた転職活動をしたいと答えており、採用できた後の定着も別の課題として残ります。
Q: 営業の離職率はどれくらいですか? マイナビが2025年12月に実施した調査では、2025年に転職した営業職203名のうち57.1%が「今後1年以内にあらためて転職活動をしたい」と答えています(転職者全体51.7%)。6つの職種区分で最も高い値です。ただしこれは転職の意向であって、離職率そのものではありません。本記事で扱った3つの調査に、営業の離職率を測ったものはなく、対象も2025年に転職した人だけです。
Q: 営業職はAIでなくなりますか? 営業職の回答者203名のうち49.3%が「今後、AIやロボットに代替されそうな職種」に営業を挙げています(マイナビ・2025年12月)。一方、転職者全体1,446名で営業を挙げたのは13.9%で、全体の1位は管理・事務32.3%、2位はITエンジニア18.8%でした。営業がAIに代替されると最も強く考えているのは営業自身です。ただし回答者が自分の職種を挙げる偏りがあり、クリエイター・エンジニア層もITエンジニアを46.8%挙げています。営業職がなくなると示したデータは、扱った3つの調査にはありません。
Q: 生成AIは営業職の転職に影響していますか? 影響しています。マイナビの調査は転職活動の6場面について聞いており、営業はそのすべてで転職者全体を上回りました。「転職するかどうかの判断」で51.2%(全体42.7%)、「入社先企業の決定」で41.9%(全体33.6%)、面接対策39.9%、履歴書・職務経歴書の作成39.4%、自己分析38.9%、応募先企業の選定30.5%です。差が最も大きいのは転職検討(+8.5pt)と入社先企業の決定(+8.3pt)で、作業の場面より進路を決める場面で開いています。この割合の分母は営業203名全体で、生成AIを使っていない人(転職検討で29.1%)を含みます。
Q: 生成AIが普及すると、営業職の採用は減りますか? dodaが2026年2月に実施した調査では、今後3年以内に「営業・顧客接点職種」の採用が増えると答えた企業が30.9%、減ると答えた企業が16.4%でした。増えると答えた企業のほうが約2倍多い結果です。減ると示したデータはありません。ただし対象はAIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業515社で、日本企業全体の数字ではありません。
Q: 候補者が生成AIを使う前提で、企業は何を用意すればいいですか? 生成AIが処理しやすい情報は、4つの条件を満たします。具体的な事実が書かれていること、文字として取り出せること、1か所にまとまっていること、どこに出しても記述が一致していることです。そのうえで、選考の段階ごとに用意するものが変わります。応募前は求人票と自社サイト、面接後は面接のAI議事録、選考中は採用ピッチ資料の文字版と採用記事の一覧、内定後は条件をまとめた文書です。マイナビの調査では入社先を決める段階で生成AIが影響したと答えた営業が41.9%いましたが、その時点で候補者が持っている自社の情報は、公開されている情報が中心であると思われます。この点に能動的に情報を開示することで、他社と差別化するポイントがあると言えます。
Q: 採用ピッチ資料はPDFのまま渡せばいいですか? 図と写真で見せる前提で作られた資料は、候補者が生成AIに入力しても中身が渡らないことがあります。文字が画像として埋め込まれている場合は読み取れません。同じ内容を、見出しと本文だけの文書にして別に渡します。事業の内容、組織図と人数、評価制度、給与テーブル、入社後3か月の業務を、図ではなく数字と文章で書きます。
Q: 面接の議事録を候補者に渡してもいいですか? 候補者と面接官が会話した情報であるため、全ての情報は企業にとっては開示済みの情報であり、候補者にとっては既知の情報です。問題なく渡して良いでしょう。候補者は面接の内容を記憶とメモから再現して生成AIに入力するため、企業側の記録を渡すと、入力される内容が正確になります。
Q: 候補者AI体験(CAX)とは何ですか? 候補者が生成AIを使って企業の情報を集め、比較し、応募先や入社先を判断するまでの過程における体験を指します。この記事で使っている呼び方で、定着した用語ではありません。選考の中で候補者がどのような扱いを受けたかを指す候補者体験(CX:candidate experience)と区別するために使っています。マイナビが2025年12月に実施した調査では、入社先を決める段階で生成AIが影響したと答えた営業が41.9%、転職者全体で33.6%でした。候補者がAIを使うことを前提として、そのAIの体験をよくするために能動的に企業が情報提供していくことが求められます。
参考文献、資料
- Salesforce「State of Sales(セールス最新事情)第6版」(2024年3月8日〜4月18日実施・第三者パネルによる二重匿名調査・世界27か国5,500名〈うち日本300名〉・日本語版2024年9月30日公表)。本記事の日本の数値は、同レポートの公開ダッシュボードで国別フィルタを日本に設定して取得: https://www.salesforce.com/news/stories/sales-ai-statistics-2024/ / 日本語版: https://www.salesforce.com/jp/news/press-releases/2024/09/30/sales-ai-statistics-2024/
- 株式会社マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」(2025年12月18日〜25日実施・インターネット調査・正社員として働く20〜50代のうち2025年に転職した1,446名・2026年3月23日公表): https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260323_108572/
- パーソルキャリア株式会社「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査白書 第1弾 求める人材の変化編」(2026年2月25日〜26日実施・インターネット調査・AIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業の人事・採用担当者515名〈IT通信・金融・メーカー・小売流通・建設不動産の5業界から各103サンプル〉・2026年3月発行)