AIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業で、中途採用が増えた職種の1位は「データ・デジタル/IT企画系職種」(56.2%)、2位は「業務改善・DX推進を担う職種」(39.2%)でした。一方で、求める候補者に「十分に出会えている」と答えた採用担当者は13.5%にとどまります。
増やしたい職種ははっきりしているものの、企業はなかなか採用ができていないという現状があります。この記事では、企業を対象にした調査(パーソルキャリア株式会社 doda・n=515)と、AI推進を担当する求職者に関する、株式会社プロリク独自調査(n=1,594)を突き合わせて、この職種の採用で何を示す必要があるのかを整理します。
AI活用そのものの進め方については「AI採用とは?——採用工程ごとのAI活用と成功の条件」もあわせてご覧ください。
AHRとは?
AHR(AI and Human Resources)とは、企業の経営課題に向き合う組織能力を充足させるため、AI資源と人的資源を経営資源として設計・運用・再配分する、株式会社プロリクが2025年6月に提唱した実践フレームです。従来のHRが人的資源のみを扱ったのに対し、AHRはAIを人と並ぶ「経営のコア資源」と捉え、組織能力獲得を目指す考え方です。AHRは、株式会社プロリクの登録商標です。
📄 詳細記事: 【決定版】AHRとは?-人とAIの働き方をリデザインする
この記事の要点(TL;DR)
- AIツールを導入・活用している企業の54.4%で、すでに中途採用の人数に変化が起きています。今後3年以内に変化すると見込む企業は62.2%です
- 増える職種の1位は「データ・デジタル/IT企画系職種」、2位は「業務改善・DX推進を担う職種」です。減る職種の1位は「定型・ルーティン業務中心の職種」です
- 求める人物像が変わった企業は75.1%、中途採用で求めるAI活用スキルの要求水準が上がった企業は69.0%です
- 一方、求める候補者に十分に出会えている採用担当者は13.5%です。DX推進人材が不足していると答えた日本企業は85.1%です
- AI推進を担当している309名に転職先を選ぶ基準を聞くと、上位4項目は給与・オフィス環境・ワークライフバランス・福利厚生でした。他の職種と変わりません
- 違いが出るのは5位以下です。「AI/MLの開発プロセス」は、AI業務に関与している層では6位ですが、回答者全体では31位でした。「AI/データドリブン経営への本気度」は関与層25位に対し全体39位です
- この人たちが職場で課題だと感じていることの1位は「経営陣のAIへの理解やコミットメントが不足している」(15.2%)でした。AI業務に関与していない層では6.7%です
- この人たちは、前の職場で課題だったことを、次の職場で確認しようとしています。求人票と面談で示すべきなのは、ツールの種類ではなく、経営の関与・意思決定の進め方・データ基盤の状態です
AI推進を担う職種の中途採用は増えている
パーソルキャリア株式会社が2026年3月に発行した「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査白書 第1弾『求める人材の変化編』」によると、AI導入・活用によって現在の中途採用人数に変化があった企業は54.4%です。
調査概要
- 調査主体: パーソルキャリア株式会社(転職サービス doda)
- 実施期間: 2026年2月25日〜26日
- 有効回答数: 515件(IT通信・金融・メーカー・小売流通・建設不動産から各103サンプル)
- 対象: AIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業で、中途のみ、または新卒と中途両方の採用に関わる22〜69歳の正社員
- 方法: インターネット調査
内訳は次のとおりです。
現在の中途採用人数 | 割合 |
増えた領域がある(減った領域はない) | 14.2% |
増えた領域と減った領域がある | 23.5% |
減った領域がある(増えた領域はない) | 16.7% |
変化がある(上記3つの合計) | 54.4% |
変わらない | 41.2% |
今後3年以内については、変化すると見込む企業が62.2%(増える19.6%、増減両方28.2%、減る14.4%)で、現在より10ポイント近く高くなります。すでに始まっている変化が、今後さらに広がると企業は見込んでいます。
採用が増えている職種と、減っている職種
では、どの職種が増え、どの職種が減っているのでしょうか。
すでに中途採用が増えた職種領域(白書11ページ)
職種領域 | 割合 |
データ・デジタル/IT企画系職種 | 56.2% |
業務改善・DX推進を担う職種 | 39.2% |
企画・戦略立案職種 | 36.1% |
エンジニア・技術系職種 | 35.6% |
すでに中途採用が減った職種領域
職種領域 | 割合 |
定型・ルーティン業務中心の職種 | 32.9% |
バックオフィス職種 | 24.6% |
現場業務中心の職種 | 21.3% |
今後3年以内の見通しでも、増える職種の順番は変わりません。「データ・デジタル/IT企画系職種」48.0%、「業務改善・DX推進職種」44.3%、「エンジニア・技術系職種」37.0%、「研究・専門職などの高度専門職」33.3%と続きます。減る職種も「定型・ルーティン業務中心の職種」40.2%、「バックオフィス職種」33.8%、「現場業務中心の職種」19.6%で同じ順です。
AIの普及が雇用全体にどう影響しているかは「AIは本当に仕事を奪っているのか?2026年、世界と日本の雇用データで検証する」で、国内外の雇用データをもとに検証しています。
採用が増えた職種の1位と2位は、いずれもAI活用を企画し、業務プロセスに組み込む役割です。エンジニアのようにモデルやシステムを作る職種は3位以下に位置しています。企業が採用を増やしているのは、AIそのものを開発する人材よりも、AIを業務に組み込む人材です。
この記事では、この役割を担う人を「AI推進を担う人材」と呼びます。社内での呼び名は企業によって異なり、AI推進担当、DX推進担当、AIオペレーションマネージャーなどが使われています。
3位の「エンジニア・技術系職種」については、採用市場の構造と打ち手を「エンジニア採用はなぜ難しいのか?市場データと独自調査から見る打ち手【2026年版】」で別に扱っています。この記事では、1位と2位にあたる職種を対象にします。
なお、この職種の採用が増えていることは、他の調査でも確認できます。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025」では、DX推進人材の量が「やや不足」または「大幅に不足」と答えた日本企業が85.1%にのぼりました。同調査で日本企業が最も不足しているとした人材は「ビジネスアーキテクト」で、これは事業課題とデジタル技術をつなぐ役割を指します。
企業が求める人物像はどう変わったか
同じdoda白書によると、AI導入・活用を背景に中途採用で求める人物像が変わった企業は75.1%です(「大きく変わった」22.1%+「一部変わった」53.0%)。
さらに、中途採用で求めるAI活用のスキルレベルについては、「大いに上がっている」11.7%と「やや上がっている」57.3%を合わせて**69.0%**の企業で要求水準が上がっています(白書19ページ)。
企業は、この職種の採用を増やすと同時に、一人あたりに求める水準も上げています。採用したい人数が増える一方で条件が厳しくなるため、要件に合う候補者は相対的に少なくなります。
第2弾『AI導入・活用と育成・評価の実態編』では、企業の受け入れ体制も調べています。
項目 | 割合 |
研修やまなびの機会を提供している | 82.9% |
AI活用スキルの水準を定義している | 67.2%(明確21.6%+ある程度45.6%) |
AI活用スキルを評価に含めている | 58.4% |
AI活用の促進・使い方の指導を「専任の推進担当・専門部署」が担っている | 54.2%(複数回答の最多) |
半数を超える企業が、AI活用の推進を担う専任の担当者や部署をすでに置いています。この職種の求人は、こうした部署の増員や新設に伴って出ているものと考えられます。
評価制度への反映については「AI活用をどう評価に反映させるか?AI時代の人事評価制度」で詳しく扱っています。
なぜ採用が難しいのか
求める水準が上がっていることに加えて、候補者と出会えていないという実態があります。
Sansan株式会社が2026年5月に発表した「AI時代の転職・キャリアに関する実態調査」(2026年4月22日〜24日実施、AI活用中で従業員100名以上の企業の採用担当者487名・ビジネスパーソン581名)では、求める候補者に「十分に出会えている」と答えた採用担当者は13.5%でした。AIにより採用に変化があったと答えた採用担当者は76%です。
同じ調査で、転職潜在層は55.2%、そのうちスカウトに前向きな人は89.4%でした。**転職活動を始めていないだけで、話を聞く用意がある人は多く存在します。**採用が難しい理由は、候補者が存在しないことではなく、企業からの接触が候補者に届いていないことと、接触した後に判断材料を示せていないことにあります。
もう1つ、他社へ転職する理由もはっきりしています。株式会社チェンジホールディングスが2026年6月に公表した「AI活用とキャリア意識に関する調査」(2026年3月23日〜30日実施、20〜50代の全国の会社員・役員1,088名)では、「勤務先のAI活用の遅れは転職理由になり得る」と答えた人が35.1%でした。IT・通信業界では48.3%、課長・部長層では過半数に達します。
自社のAI活用が遅れている状態は、採用の場面と、既存社員の引き止めの場面の両方で不利に働きます。この点は「なぜ、あなたの会社のAI活用は「ツール思考」で終わるのか?」でも扱っています。
AI推進を担う人は何を見て転職先を選ぶのか
ここからは、候補者を対象にした調査のデータを見ます。
調査概要
- 調査主体: 株式会社プロリク
- 実施時期: 2025年5月
- 有効回答数: 1,594名(注意確認の設問を通過した回答者)
- 対象: AI推進を担う職種への転職可能性がある会社員
- 方法: インターネット調査
- うち、AI関連業務に実際に関与している回答者は309名(社内AI活用の推進・旗振り114名、RPA・OCR・LLM等のツール導入による業務自動化108名、業務プロセスのAIによる再設計87名)
この309名に、応募先企業を選ぶ際に影響する要素を45項目から複数選択で聞きました。上位は次のとおりです。
順位 | 項目 | 割合 |
1 | 給与・待遇・ストックオプション | 23.0% |
2 | オフィス環境(内装、立地、設備など) | 19.1% |
3 | ワークライフバランス(リモート制度、残業時間、勤務時間の柔軟性) | 18.8% |
4 | 福利厚生その他の待遇 | 17.8% |
5 | キャリアパスの明確さ | 14.6% |
6 | AI/MLの開発プロセス(モデルトレーニング、実験管理、反復改善の進め方) | 13.9% |
7 | チームメンバーのバックグラウンドや専門性 | 13.6% |
上位4項目は給与・オフィス環境・ワークライフバランス・福利厚生です。**この職種の候補者だからといって、待遇を重視しないということはありません。**むしろ、回答者全体(1,594名)と比べると、給与を選んだ割合は全体29.2%に対し関与層23.0%、福利厚生は全体24.0%に対し17.8%と、待遇項目はいずれも全体のほうが高くなっています。
違いが出るのは5位以下です。回答者全体での順位と比べると、次の項目で位置が大きく変わります。
項目 | 関与309名 | 全体1,594名 |
AI/MLの開発プロセス | 6位(13.9%) | 31位(5.0%) |
KPI・効果検証・組織インパクトへのコミットメント度合い | 19位(11.0%) | 37位(4.4%) |
AI/データドリブン経営への本気度(経営陣の本気・資本投下・組織的な優先順位) | 25位(10.4%) | 39位(4.1%) |
データ基盤やMLOpsなど、AI開発に必要な基盤整備レベル | 22位(10.7%) | 34位(4.8%) |
経営層が考えるAI組織の理想像・期待値の明確さ | 13位(11.7%) | 25位(5.9%) |
AIを前提とした中長期の事業構想の明確さ | 16位(11.3%) | 27位(5.3%) |
ナレッジ共有・AI人材育成の仕組み有無 | 12位(12.3%) | 20位(6.3%) |
意思決定プロセスの透明性、情報非対称性 | 10位(12.6%) | 16位(6.8%) |
逆に、順位が下がる項目もあります。「成果主義であるかどうか」は全体17位に対し関与層40位、「チームで大切にしている価値観やカルチャー」は全体8位に対し関与層30位、「上司のマネジメントスタイル」は全体14位に対し関与層33位でした。
整理すると、この人たちが他の職種より優先しているのは、AI活用の具体的な進め方と、経営がそこにどこまで関与しているかです。逆に、成果主義かどうか、チームの価値観、上司の個性といった項目の優先度は下がります。
「先端AI技術の導入状況・深度(PoC止まりか、実運用レベルまで浸透しているか)」を選んだのは関与層で8.1%(全体3.6%)でした。この人たちは、ツールを導入しているかどうかではなく、実運用まで到達しているかどうかを確認しています。
入社後、どのようなことを課題だと感じているのか
同じ調査で、AIを活用した業務改革やプロジェクトを進めるうえで最も大きな「壁」や「課題」だと感じたことを、3つまで選んでもらいました。AI業務に関与している309名と、関与していない1,032名を並べます。
項目 | 関与309名 | 非関与1,032名 |
特に大きな壁や課題は感じていない | 7.4% | 26.5% |
経営陣のAIへの理解やコミットメントが不足している | 15.2% | 6.7% |
AIを使いこなせる人材が社内におらず、推進役が孤立している | 12.9% | 14.4% |
部署間の連携が悪く、全社的な協力体制が築けない(セクショナリズム) | 12.0% | 5.2% |
データがサイロ化/未整備で、AIで活用できる状態にない | 11.3% | 5.8% |
事業部門の抵抗が強く、既存プロセスへの固執から抜け出せない | 9.1% | 5.0% |
自身の貢献や成果が、正当に評価される仕組みがない | 8.1% | 9.3% |
ROI(投資対効果)の説明が難しく、予算や人員が確保できない | 7.1% | 4.9% |
短期的な成果ばかりを求められ、中長期的な視点での改革ができない | 7.1% | 5.6% |
試行錯誤や失敗が許されず、挑戦しづらい文化がある(減点主義) | 5.2% | 4.2% |
自身の裁量が乏しく、スピード感のある意思決定ができない | 4.5% | 8.6% |
まず、課題を1つも挙げなかった人の割合が大きく違います。関与している層では7.4%、関与していない層では26.5%です。実際に担当している人ほど、具体的な課題を挙げています。
課題の1位は「経営陣のAIへの理解やコミットメントが不足している」15.2%です。関与していない層では6.7%で、順位も下がります。2位以下も「部署間の連携」12.0%、「データがサイロ化/未整備」11.3%、「事業部門の抵抗」9.1%と続き、いずれも関与している層のほうが高くなっています。
これらはすべて、担当者個人の能力ではなく、組織の状態に関する項目です。
順位が逆転する項目もあります。「自身の裁量が乏しく、スピード感のある意思決定ができない」は、関与していない層で8.6%、関与している層では4.5%です。外から見ると個人の権限の問題に見えますが、実際に担当すると、権限そのものよりも経営の関与や部署間の調整が課題として現れます。
企業が課題として捉えているものと比べます。doda白書24ページによると、AI導入・活用を進めるうえで企業が社員に感じている課題の上位は「使いこなせる人とそうでない人の差」と「AIに依存しすぎることで経験が蓄積されにくくなること」でした。第2弾では、社員間で活用の差が「見られる」と答えた企業が72.4%、その理由の最多は「各個人のスキル・能力の差」65.7%です。
- *企業は個人のスキル差として課題を捉え、担当者は組織の状態を課題として挙げています。**企業が用意している施策(研修82.9%、スキル水準の定義67.2%、評価への反映58.4%)は、いずれも個人に向けたものです。
生成AIの導入が組織にどう影響するかについては「生成AIは組織文化をどう変えるか?」で、リーダーシップの有無による差を扱っています。
2つの調査を並べる際の注意点
- doda白書は企業の採用担当者515名、独自調査はAI推進を担う職種への転職可能性がある個人1,594名が対象です。同じ集団を前後で比べたものではありません
- 実施時期は9か月違います(doda白書2026年2月、独自調査2025年5月)
- 独自調査の課題の設問は「3つまで選択」の複数回答です。各項目の割合は、その項目を選んだ人の比率であり、合計は100%になりません
- 各項目の割合そのものより、関与している層と関与していない層でどの項目の順位が変わるかを見てください
企業はどんな採用活動をすればいいのか
ここまでの数字から、採用活動で示すべきことを整理します。
求人票に書くこと
AI活用の意思決定を誰がしているかを書く。 応募先を選ぶ基準で「AI/データドリブン経営への本気度」は関与層25位(10.4%)に対し全体39位(4.1%)、「経営層が考えるAI組織の理想像・期待値の明確さ」は関与層13位(11.7%)に対し全体25位(5.9%)でした。入社後の課題の1位も経営陣の理解不足です。経営会議でAIをどの頻度で扱っているか、予算の決裁者は誰か、AI推進の責任者は経営層か部門長かを具体的に書きます。
PoCで止まっているのか、実運用まで進んでいるのかを書く。 「先端AI技術の導入状況・深度(PoC止まりか、実運用レベルまで浸透しているか)」を選んだのは関与層8.1%(全体3.6%)です。導入済みのツール名を列挙するだけでは、候補者にとって判断材料になりません。どの業務が実運用に入っていて、月あたり何件処理しているのかを書きます。
評価の方法を書く。 「KPI・効果検証・組織インパクトへのコミットメント度合い」は関与層19位(11.0%)に対し全体37位(4.4%)です。何をもって成果とするのか、AI活用による業務時間の削減を評価にどう反映するのかを書きます。
待遇も書く。 選択基準の1位から4位は給与・オフィス環境・ワークライフバランス・福利厚生です。AI活用に関する項目を記載したからといって、待遇の記載を省略してよいわけではありません。
面談で話すこと
部署をまたぐときの進め方を話す。 入社後の課題の2位は「部署間の連携が悪く、全社的な協力体制が築けない」12.0%、5位は「事業部門の抵抗が強く、既存プロセスへの固執から抜け出せない」9.1%です。過去に他部門と進めた案件で、誰が調整し、どのくらいの期間で合意したのかを具体的に話します。
推進担当が何人いるかを話す。 「AIを使いこなせる人材が社内におらず、推進役が孤立している」は関与層12.9%です。1人で担当することになるのか、チームがあるのかは、応募の判断に影響します。
意思決定の進め方を話す。 「意思決定プロセスの透明性、情報非対称性」は関与層10位(12.6%)に対し全体16位(6.8%)でした。提案から決裁までに誰の承認が必要で、通常どのくらいの日数がかかるのかを話します。
スカウトを送る
Sansanの調査では、転職潜在層が55.2%、そのうちスカウトに前向きな人が89.4%です。求める候補者に十分出会えている採用担当者が13.5%であることと合わせると、応募を待つだけでは必要な母集団が集まらないことになります。
スカウト文には、上に挙げた項目のうち自社が示せるものを入れます。全員に同じ文面を送るのではなく、AI推進の経験がある人には経営の関与と意思決定の進め方を、これから担当する人にはデータ基盤の現状と担当範囲を書き分けます。
送信数を確保しながら1通ずつ内容を変える方法については「AIスカウトとは?仕組み・費用・サービス比較|返信率で選ぶ【2026年版】」で、AIが担える工程と人が担う工程を分けて整理しています。文面そのものの組み立て方は「スカウト返信率を上げる!エンジニア採用のスカウト文章構造」で扱っています。
採用する前に決めておくこと
入社後の課題として挙がった上位の項目は、いずれも採用活動によって解決できるものではありません。経営陣がAI活用にどう関与するか、部署をまたぐ意思決定を誰が行うか、データ整備をどこまで先に済ませるかは、採用前に決める必要があります。
課題を1つも挙げなかった人が関与層で7.4%しかいないという結果は、この職種に就いた人のほとんどが何らかの課題に直面していることを示しています。採用した後に同じ状態が続けば、その人も同じ課題を挙げることになります。
著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
よくある質問
Q. AIオペレーションマネージャーとはどのような職種ですか?
生成AI、RPA(定型作業を自動化するソフトウェア)、OCR(画像から文字を読み取る技術)などを使って、業務プロセスを設計し直し、社内に定着させる役割を指します。呼び名は企業によって異なり、AI推進担当、DX推進担当などが使われています。独自調査(n=1,594)でこの業務に関与している309名の内訳は、社内AI活用の推進・旗振り114名、ツール導入による業務自動化108名、業務プロセスのAIによる再設計87名でした。
Q. AI推進を担う職種の中途採用は実際に増えていますか?
増えています。パーソルキャリアのdoda白書(2026年2月実施・n=515)によると、AIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業で、中途採用が増えた職種の1位は「データ・デジタル/IT企画系職種」56.2%、2位は「業務改善・DX推進を担う職種」39.2%でした。今後3年以内の見通しでも同じ順で、48.0%と44.3%です。
Q. どのような職種の採用が減っていますか?
同じ調査で、中途採用が減った職種の1位は「定型・ルーティン業務中心の職種」32.9%、2位は「バックオフィス職種」24.6%、3位は「現場業務中心の職種」21.3%でした。今後3年以内の見通しでは、それぞれ40.2%、33.8%、19.6%と、現在より高い割合になっています。
Q. なぜAI推進人材の採用は難しいのですか?
求める水準が上がっていることと、候補者に届いていないことの2つが理由です。doda白書では、中途採用で求めるAI活用スキルの要求水準が上がった企業が69.0%、求める人物像が変わった企業が75.1%でした。一方、Sansanの調査(2026年4月実施・採用担当者487名)では、求める候補者に「十分に出会えている」採用担当者は13.5%です。
Q. AI推進を担う人は転職先の何を見ていますか?
選択基準の上位4項目は給与23.0%、オフィス環境19.1%、ワークライフバランス18.8%、福利厚生17.8%で、他の職種と変わりません。違いが出るのは5位以下で、「AI/MLの開発プロセス」は回答者全体では31位ですが、AI業務に関与している層では6位(13.9%)でした。「AI/データドリブン経営への本気度」も全体39位に対し関与層25位です。
Q. 求人票には何を書けばよいですか?
AI活用の意思決定を誰がしているか、PoCで止まっているのか実運用まで進んでいるのか、データ基盤の現状、成果をどう評価するかの4点です。「先端AI技術の導入状況・深度(PoC止まりか、実運用レベルまで浸透しているか)」を選んだのは関与層8.1%(全体3.6%)で、導入済みツール名の列挙では判断材料になりません。あわせて給与・勤務条件も具体的に書きます。
Q. 給与を上げれば採用できますか?
給与は選択基準の1位(23.0%)なので必要な条件ですが、それだけでは足りません。回答者全体では給与を選んだ割合が29.2%で、AI業務に関与している層(23.0%)より高くなっています。関与している層は、待遇に加えて、経営の関与・意思決定の進め方・データ基盤の状態を確認しています。
Q. 入社後に定着させるには何が必要ですか?
採用前に、経営陣がAI活用にどう関与するか、部署をまたぐ意思決定を誰が行うか、データ整備をどこまで先に済ませるかを決めておくことです。AI業務に関与している309名が挙げた課題の1位は「経営陣のAIへの理解やコミットメントが不足している」15.2%、2位は「部署間の連携が悪く、全社的な協力体制が築けない」12.0%で、いずれも採用活動では解決できません。
出典
- パーソルキャリア株式会社「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査白書 第1弾『求める人材の変化編』」(2026年3月発行/2026年2月25日〜26日実施/n=515): https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2026/20260325_2131/
- パーソルキャリア株式会社「同調査 第2弾『AI導入・活用と育成・評価の実態編』」(2026年4月発表/調査は第1弾と同一): https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2026/20260416_2163/
- Sansan株式会社「AI時代の転職・キャリアに関する実態調査」(2026年4月22日〜24日実施/採用担当者487名・ビジネスパーソン581名): https://jp.corp-sansan.com/news/2026/0512_02.html
- 株式会社チェンジホールディングス「AI活用とキャリア意識に関する調査」(2026年3月23日〜30日実施/1,088名): https://www.change-jp.com/news/post-20260601
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」: https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/
- 株式会社プロリク 独自調査(2025年5月実施/有効回答1,594名/うちAI関連業務に関与309名/インターネット調査)