エンジニア採用が難しい、そういったご認識を持っていただいた方がこの記事を読んでいただいているのだと思いますが、2026年においてもまだまだエンジニア採用は困難であるという認識が共通理解であるように思います。
各種データを見てみると、年間で転職市場に出てくる自社サービス開発エンジニアは、推定500〜1,000人と見込まれます。一方、そういったエンジニアを採用しようとしている企業は、資金調達をしたスタートアップだけで2,700社を超えます。この需給だけを見れば、採用できないのは当然に思えます。しかし同じ市場条件のなかで、採用できている企業はやはり存在するわけです。市場が全社に共通している以上、差がついているのは各社の内側の採用活動という言い方もできます。
本記事ではまず前半で市場の状況を数字で整理しエンジニア採用をとりまく環境を整理していきたいと思います。つぎに後半では、自社の採用体制のどこがエンジニア採用を難しくしているのか、抜けやすいのか、そういったものを工程ごとに扱いたいと思います。
※なお、エンジニア採用のみならず、人事機能全体をまずは理解・整理されたい場合は、以下の記事で人事全体を体系化しています。よろしければご参照ください。
📄 関連記事:【HR全書】HR(人事)とは?戦略人事とは?経営から逆算する人事機能の全体像
この記事の要点(TL;DR)
市場について
- 市場規模: IT人材約125万人のうち、自社サービス開発エンジニアの年間転職者数は推定500〜1,000人。そもそも「採りたい層」が極めて少ない
- 需要: 2,700社超のスタートアップに加え、DX人材が不足していると答えた企業85.1%の事業会社が、この層を採ろうとしている
- 2019→2026の構造変化: 生成AIの登場、リモートワーク普及、副業/フリーランス増加、SIer→自社開発への人材流動——7年間で採用競争の前提が変わった
- エンジニアが応募先を選ぶ基準が変わっている: 1,164名への独自調査で、約3割が「企業の生成AI活用状況」を応募判断に考慮。ただし職種によって感度に最大6倍の差がある
自社の採用体制について
- 内部の難しさは初期設計と運用の2つに分かれます。初期設計が7つ、運用が4つです
第1部 エンジニア採用を取り巻く外部環境、市場の状況
エンジニア採用市場の全体像——「採りたい層」は何人いるのか?
エンジニア採用が難しいと感じている方にまず知っていただきたいのは、そもそもの市場規模です。
IT人材の全体像——数字を分解する
「IT人材」と一口に言っても、その中身は多様です。
令和2年(2020年)国勢調査によると、日本の「情報処理・通信に携わる人材」は約125万人です(IPA「DX白書2023」集計)。2015年の約104万人から5年間で約20万人増加しました。このうち約74%がIT企業に、約26%がユーザー企業(IT企業以外の事業会社)に所属しています。
しかし、この「125万人」にはシステムコンサルタント・設計者、その他の情報処理・通信技術者なども含まれています。実際にアプリケーションを開発するエンジニアは、IT企業で52.7%・事業会社で32.6%を占め、全体では約半数程度です(DX白書2023 第4部 デジタル時代の人材)。
「IT人材125万人」という数字を見て、その全員がエンジニアだと思ってはいけません。
層 | 推定人数 | 出典・備考 |
IT人材全体 | 約125万人 | IPA DX白書2023(令和2年国勢調査) |
うちアプリケーション開発者 | 全体の約半数(約68万人) | DX白書2023 第4部 |
自立して開発可能な層 | 十数万人程度 | IPAの定義・推計に基づく参考値 |
自社サービス開発経験者 | 1〜2万人 | 国勢調査+e-Stat推定 |
年間転職者数 | 500〜1,000人 | 転職率約4.8%を適用した推計 |
自社サービス開発エンジニアは実際に何人いるのか
多くのスタートアップや事業会社が採りたいのは、「SIerで受託開発をしてきた人」ではなく「自社サービスの開発経験がある人」です。ここでいう「自社サービス開発エンジニア」とは、自社が運営するプロダクトやサービスの開発に直接携わるエンジニアを指し、SIerやSES(システムエンジニアリングサービス)での受託開発とは区別されます。
総務省の国勢調査とe-Statのデータを用いると、自社サービスを開発するエンジニアが多く所属する業種は「インターネット付随サービス業」と「ソフトウェア業」の一部(SaaS企業等)です。これらの業種でアプリケーション開発に直接従事する就業者は1〜2万人規模にとどまると推定されます(最新の令和2年国勢調査の同条件クロス集計は確認中のため参考値として示します)。
DX推進によるIT内製化でユーザー企業側の開発人材も増えていますが、SIerや事業会社の内製エンジニアを加味しても、「自社サービス開発経験を持つエンジニア」の総数は数万人規模と推定されます。
年間の転職者数はどのくらいか
総務省「労働力調査(詳細集計)」(2025年平均)によれば、転職者数は330万人(前年比-1万人、4年ぶりの減少)で、転職者比率は約4.8%です。
仮にこの転職率を自社サービス開発エンジニアの推定数(1〜2万人)に当てはめると、年間で実際に転職市場に出てくるのは500〜1,000人程度という計算になります。
実際、WantedlyやGreenといったプラットフォームには多くのエンジニアが登録しています。しかし、「登録している」ことと「実際に転職活動をしている」ことは大きく異なります。潜在層の中からアクティブに動く層を見ると、市場は想像以上に小さいのです。
需要側——スタートアップへの資金流入と採用競争の激化
一方、この小さな市場を奪い合う企業側はどうでしょうか。
スピーダ スタートアップ情報リサーチの「Japan Startup Finance 2025」によれば、2025年の国内スタートアップ資金調達総額は7,613億円、調達社数は2,700社です。2024年の2,869社から約6%減少しており、資金が「選別」される傾向が強まっています。とはいえ調達した資金の多くは採用やマーケティングに投じられます。採りたい企業は依然として多く存在する一方、採られる側のエンジニアの数はさほど変わっていない——これがエンジニア採用の構造的な難しさの正体です。
また、IPA「DX動向2025」によれば、DXを推進する人材が不足していると回答した日本企業は85.1%にのぼり、米国(23.8%)・ドイツ(44.6%)を大きく上回りました(国内1,535社対象)。転職市場の逼迫も顕著で、生成AI導入が進んだ現在にあっても、dodaの転職求人倍率ではエンジニア(IT・通信)は10倍を超える水準で推移しています(2025年)。さらに経済産業省の試算では、IT人材は2030年に最大約79万人不足するとされており(2019年公表)、需要が供給を上回る構造は一定程度維持されるようにも見えます。
特に、企業規模31〜100名程度のシリーズA〜Bのスタートアップでは人材不足感が最も強い傾向があります。メガベンチャーはブランド力と待遇で人材を集められますが、知名度がまだ高くない成長フェーズの企業ほど、採用競争で不利な立場に置かれます。
需給ギャップの結論
ここまでのデータを整理すると、エンジニア採用の難しさは手法の問題ではなく、市場構造の問題であることがわかります。
- 供給: 自社サービス開発エンジニアの年間転職者数は推定500〜1,000人
- 需要: 2,700社超のスタートアップに加え、DX推進中の事業会社がこの層を奪い合っている
この需給ギャップを理解した上で、「どうすればこの小さな市場の中から自社に合う人材にリーチできるか」を考える必要があります。求人広告を出して待つだけでは、構造的に成立しない市場なのです。
なお、余談ですが、このDX需要は、エンジニア以外の職種の採用にも影響を与えています。AIツールを導入・活用している従業員501名以上の企業で中途採用が増えた職種を見ると、1位は「データ・デジタル/IT企画系職種」(56.2%)、2位は「業務改善・DX推進を担う職種」(39.2%)で、「エンジニア・技術系職種」(35.6%)は4位でした。開発する人よりも、AIを業務に組み込む人の採用が先に増えています。
📄 関連記事:AI推進を担う人材はどう採用するか——企業が増やす職種と、候補者が転職先で確認していること【2026年版】
2026年で何が変わったか——4つの構造変化
エンジニア採用市場の需給ギャップは弊社が創業する2020年前後から常に存在していました。しかし、近年市場の前提そのものが大きく変わっています。
- 生成AIの登場 — 「コードを書ける」だけでは差別化できない時代に
- リモートワーク普及 — 採用競合が全国・グローバルに拡大
- 副業・フリーランス増加 — 正社員転職だけが選択肢ではなくなった
- SIer→自社開発への人材流動 — DX内製化が加速
1. 生成AIの登場——「必要なエンジニア像」が変わりつつある
2022年末のChatGPT登場以降、AIコーディングツールが急速に普及しました。GitHub Copilotの有料サブスクライバーは470万人(2026年1月時点、前年比75%増)に達し、Cursor(AIコードエディタ)のARRは20億ドルを突破しています(2026年3月時点)。もはや「一部の先進的なエンジニアが試している」段階ではなく、開発現場のインフラになりつつあります。
この変化は採用に2つの影響を与えています。
1つは、「コードを書ける」だけでは差別化できなくなりつつあるということです。定型的な実装はAIが支援できる時代において、企業がエンジニアに求めるのは設計力、問題定義力、AIの出力を評価・修正できる判断力へとシフトしています。
もう1つは、エンジニア側も「この会社はAIをどう活用しているか」を見ているということです。これについては後述の独自調査で詳しく触れます。生成AIが組織文化に与える影響については「生成AIは組織文化をどう変えるか?」で詳しく解説しています。
なお、公開されている調査でも同じ傾向が確認できます。Findyが2025年6月に605名のエンジニアへ行った調査では、66.9%が生成AIをきっかけにキャリアの再検討または転職活動を始めており、81.2%が転職先として「AI活用に積極的な企業」を希望しています。レバテック・Findy・paiza・JILPTの6調査を突き合わせた内容は、以下の記事で扱っています。
📄 関連記事:生成AI時代、ITエンジニアは何を見て転職先を選ぶのか|6つの公開調査で見る転職動機と採用要件の変化【2026年版】
2. リモートワークの普及——採用競合が全国・グローバルに
コロナ禍を経て、エンジニア職のリモートワークは定着しました。フルリモートを掲げる企業が増えたことで、エンジニアは地理的制約なく就職先を選べるようになりました。逆に言えば、採用する企業側は全国——場合によっては海外の企業とも人材を奪い合う時代になっています。
「オフィス出社 or フルリモート」は、今やエンジニアが応募先を選ぶ際の最初のフィルターの一つです。
3. 副業・フリーランスの増加——「正社員転職」だけが選択肢ではなくなった
副業解禁の流れとフリーランスエージェントの台頭により、エンジニアの働き方の選択肢が広がりました。「本業を続けながら副業で別の会社に関わる」「フリーランスとして複数の案件を掛け持ちする」という選択も一般化しています。
これは採用側にとって、転職率だけでは市場の動きを測れなくなったことを意味します。正社員転職以外のエントリーポイント——副業やフリーランスからの関わりを含めた採用チャネル設計が必要です。
4. SIer→自社開発への人材流動——DX需要が加速させた構造変化
DX推進により、事業会社がIT組織を内製化する動きが加速しました。それに伴い、SIerで経験を積んだエンジニアが事業会社やスタートアップに転職するケースが増えています。
ただし、SIer出身者と自社サービス開発経験者では、求められるスキルセットや働き方が異なります。ウォーターフォール型の開発プロセスに慣れたエンジニアが、アジャイル型の自社開発チームにすぐフィットするとは限りません。受け入れ体制(オンボーディング)の設計も採用戦略の一部として考える必要があります。
エンジニアは企業の何を見ているか——独自調査の示唆
市場の構造と変化を見てきました。では、当のエンジニアたちは転職先をどのような基準で選んでいるのでしょうか。
調査概要
- 調査主体: 株式会社プロリク
- 調査時期: 2025年
- 対象・方法: ITエンジニア1,164名へのオンラインアンケート
- 対象職種: バックエンド・フロントエンド・モバイル・インフラ/クラウド・AI/ML・データエンジニア・マネジメント系等
約3割が「企業の生成AI活用状況」を応募判断に考慮
求人企業が生成AIを用いた開発プロセスを持っているかどうかが応募判断に影響するかを尋ねたところ、「影響がある」「強く影響がある」と回答したエンジニアは合わせて約3割にのぼりました。
一方で「どちらとも言えない」が約半数を占めており、生成AI活用の有無が応募基準として全エンジニアに定着しているわけではありません。ただし、この「約3割」という数字は無視できません。年間500〜1,000人しか動かない市場で、そのうちの3割が「AIの活用状況を見ている」ならば、自社のAI活用方針を発信しない企業は候補者プールをさらに狭めている可能性があります。
エンジニアが抱えるAI活用への懸念
同調査では、生成AI活用に対するエンジニアの懸念も浮き彫りになりました。全体で最も多かったのは「機密情報や個人データが外部に漏れるリスク」(16.2%)、次いで「生成物の品質・セキュリティが担保できない」(14.4%)です。
職種によっても懸念の内容は異なります。開発エンジニアは「品質・セキュリティの担保」(15.9%)と「企業や上司との間の認識ズレ」(13.8%)を懸念しています。データ活用系は「AIに依存してスキルが陳腐化する不安」(17.7%)が上位に入り、インフラ・クラウド系は「倫理的な問題」(11.3%)にも敏感です。マネジメント層は「社内ポリシーやガバナンスが整備されていない」(13.5%)を最も懸念しています。
これらの懸念に対して「うちはこう対処している」と具体的に示せる企業は、エンジニアにとって大きな安心材料になります。
職種によって感度に最大6倍の差がある
「影響がある」「強く影響がある」を合わせた割合が特に高かったのは、AI/MLエンジニア(約5割)、モバイルアプリエンジニア(約4.5割)、データエンジニア(約4割)といった職種です。
一方、SRE(約1.5割)や運用・保守系(約1.5割)の職種では、相対的に影響を受けにくい傾向が見られました。AI/MLエンジニアとSREの間には最大で約6倍の差があります。
「全エンジニアに同じ訴求をする」のではなく、採用したい職種に合わせてメッセージを変える必要があるということです。
エンジニアが見ているのは「ツール導入」ではなく「仕組みと文化」
では、生成AIの活用状況が応募判断に影響すると答えたエンジニアは、具体的に何を見ているのでしょうか。
同調査で最も多く選ばれた回答は、「AIが生成したコードや設計案に対する品質担保の仕組みが確立されていること」(約2割)でした。続いて「効率化された時間を創造的な業務や新技術の習得に充てることが推奨される文化があること」がほぼ同率で選ばれています。さらに「セキュリティ・倫理ガイドラインが明確であること」「AIツールの導入において現場エンジニアの意見が尊重されること」が上位に並びました。
そして職種によって重視するポイントが明確に異なることも判明しています。
職種カテゴリ | 最も重視するポイント | 割合 |
データ活用系(AI/ML、データエンジニア) | キャリアパス・成長機会 / 独自モデル・RAGの研究開発 | 26.5% / 24.5% |
開発エンジニア(バックエンド、フロントエンド) | 品質担保の仕組み(レビュー体制等) | 25.0% |
インフラ・クラウド系 | 経営層のリーダーシップ / ガバナンス体制 | 各18.6% |
マネジメント・管理系 | 学習支援制度 / 経営層のリーダーシップ | 22.5% / 20.0% |
エンジニアが見ているのは「最新のAIツールを導入しているかどうか」という表面的な事実ではなく、「品質担保の仕組み」「時間の使い方の文化」「ガバナンス体制」「現場の意見が通る風通し」という、もっと深い部分です。
「AIを使っています」は差別化になりません。どう使い、その結果エンジニアの働き方がどう変わるかを、職種ごとに「その人が知りたい粒度」で示せるかどうかが、候補者を惹きつけるかどうかの分かれ目です。
第2部 自社の内部環境、採用設計における難しさ
ここまでは外部環境を述べてきましたが、エンジニア採用の難しさは内部の問題も大きく関係してきます。
ここからのセクションでは、エンジニア採用をする上で、企業内部として難しくしているポイントについて述べていきたいと思います。
100社以上の採用支援で見てきたかぎり、つまずくところは初期設計と運用の2つに分かれます。
種類 | 難しくしているポイント |
初期設計の難しさ | 媒体に何人いるかを数えていない/採用決定数から逆算したアクション計画を作っていない/送信する職種を増やしすぎて、1職種あたりの送信数が足りない/ペルソナを設計していない/自社の強みを整理できていない/候補者の現職や採用競合との違いを把握できていない/職種や経験に応じて伝える内容を変えていない |
運用の難しさ | 候補者が検討するための情報を公開できていない/求人をリライトしていない/スカウト文面をリライトできていない/どの段階で、なぜ候補者が減っているかを把握できていない |
ご自身の会社でどれが当てはまるかを確かめながら読んでいただければと思います。
初期設計の難しさ
媒体調査・選定 媒体に何人いるかを数えていない
媒体調査とは、自社の要件に合う候補者が、当該媒体に実際どの程度人数がいるかを調査することです。これは媒体の営業に丁寧にヒアリングすることで分かる数値です。この調査を実施せずに印象や過去の経験だけで媒体選定をしてしまうと、媒体を契約したはいいけれど、スカウトを打つ人が思ったほどいなかった、という結果を生んでしまいます。
イメージで媒体を捉えることの問題
「Wantedlyはカジュアルさが売りであまり本気の候補者はいないんでしょ」「ビズリーチは若手が少ない」「あそこはエンジニアよりビジネス層の媒体だ」——採用の経験が長い人ほど、各媒体に対してこうした感想を持っています。しかし、そうした感覚と、実際に媒体に候補者が存在するかどうかという事実は別の話です。
感想や感覚で媒体を選定するのではなく、丁寧に数値を整理し、比較検討することでそういったイメージでの意思決定から脱却することが可能です。
媒体の営業に丁寧に自社のターゲット人材を伝え、当該媒体にどの程度のその候補者が存在するのか?を実数で把握し、契約する価値がある媒体であるかどうかを事前に見極めるのはもっとも重要な最初のステップであると言えます。
アクティブな層に絞る条件は媒体ごとに違う
さらに重要な要素としては、「今スカウトして意味ある候補者が存在するかどうか」を見極めることです。つまり、自社の要件という条件だけを設定して検索した場合の登録者数と、実際にスカウトを打って意味ある候補者の数は別だということです。スカウトして返信が来そうな候補者、転職活動をしていそうな候補者数を把握することが肝要です。極論ですが、ログインをもう何年もしていない層にスカウトを打っても返信を期待しにくいですよね。たとえば媒体別に以下ような絞り込みを入れることで一定程度活動をしている層に絞って数を計測することが可能となります。媒体の営業と議論するときには要件だけに限らずこういった条件も加味した上で人数を割り出していきたいところです。
媒体 | 絞り込み条件 |
Wantedly | 24時間以内のログイン、または転職意欲を示すマークが1つ以上 |
Green | 3日以内のログイン、かつ意欲を示すマークがついている |
ビズリーチ | 1週間以内のログイン |
LAPRAS | 転職意欲が高い層 |
アクション計画を策定していない
採用決定数から逆算して送信数を出していない(日々何を具体的にどの程度やるべきか行動計画に落ちていない)
計画なく採用活動を進めることが採用難易度を上げてしまうことがあります。 特に日々何をすべきか?具体的なアクション数値を決めていない採用チームは、活動量が標準化されず、 結果として、振り返ると活動量が足りていないことが問題であった、となりがちです。 したがってまずは、毎日何通スカウトを送信するのか、どの程度の返信率等の移行率を目指すのかというアクション計画を策定することをおすすめします。 日々の必要なスカウト送信数の計算方法は、採用したい人数から逆算して求めることが可能です。 最終的に採用したい人数の値から逆算して、返信率、書類の通過率、面談の設定率、面接の通過率、内定率、承諾率を割り戻していくと、 何通送る必要があるかが算出され、それを営業日数で割ることで1日の行動量が可視化されます。
選考の各段階で次に進む人の割合(モデル値)
選考の各段階で次に進む人の割合を、ここでは移行率と呼びます。歩留まりと呼ばれることもあります。
以下は、一つのモデル値です。 自社の数字と比べるときの目安としてご覧ください。
段階 | バックエンドエンジニア |
スカウト送信数 | 1,879 |
返信率 | 5% |
有効返信率 | 80% |
書類合格率 | 70% |
カジュアル面談数 | 52.6 |
カジュアル面談→一次面接 | 33% |
一次→二次面接 | 40% |
二次→最終面接 | 60% |
内定率(最終選考対比) | 80% |
内定承諾率 | 60% |
採用数 | 2名 |
送信数の設計 送信する職種数を増やし過ぎて、1職種あたりにかける工数が分散してしまっている
同じ工数の中でスカウト送信職種を増やし過ぎると送信数が分散してしまいます。 たとえば、1職種月間20通、20職種、月間400通を送信するような運用をした場合、 400通という数字自体は一定量活動しているように見えるものの、1職種あたりはわずか20通、5%返信率なら1件/月返ってくるという状態です。 返信率や移行率というものは確率であるため下振れもあれば上振れもあります。 月間20通、1名返信ではデータも溜まらず改善も回しにくいです。 仮に下振れをした場合、半年経過しても1職種あたり数名しか面談出来ていないということもありえます。 これでは採用は全く進んでいきません。
最低でも1職種あたり月間80通程度を送信するような運用が望ましいです。 ※そもそも送信する対象が少ない、ニッチ職種を除く
ペルソナ設計 ペルソナを設計していない
採用活動の根本は「誰に・何を・どのように伝えるか」の設計です。 内容を簡単に以下にて説明します。
誰に?:どういう人を狙いたいのかを詳細に言語化すること。スキルや属性のみならずどういった会社でどういう経験を積んでいて、だからこそどういう志向性がありそうなのか、というペルソナと呼ばれる人物像を設計すること 何を?:ペルソナに対して適切な訴求を伝えること。どのような訴求にすべきか?を綿密に考える どのように?:ペルソナに対して、適切な訴求を決めた後に、それをどのようなチャネルや表現方法で伝えていくかを決めること
この3段階のステップにおいて、まず最初に決めるべきは「誰に」です。 どういった人物かを明確化しなければ、訴求ポイントや方法論が決まることはありません。
このペルソナが曖昧なまま進んでいる採用活動はPDCAが回らないため、 採用成功を困難とさせる要因となっていると思われます。
自社分析 自社の強みを整理できていない
自社で働く魅力を十分に把握できていないと、候補者に入社を検討してもらうための情報が不足します。求人票やスカウトに「成長できる環境」「裁量のある仕事」と書いても、それだけでは、どのような経験を積めるのか、何を自分で決められるのかが分かりません。候補者は、今の職場から移る価値があるかを判断できないままになります。
このような問題が起きるのは、社内では当たり前になっていることを、社外の人に説明できる形で整理していないためです。採用担当者が思いついた特徴だけを書いていると、開発現場では評価されている制度や働き方が抜けたり、担当者によって説明する内容が変わったりします。
まずは、自社について確認する項目をそろえる必要があります。たとえば、次の6つに分けると、事業の話だけ、待遇の話だけに偏らずに整理できます。
カテゴリ | 確認する内容の例 |
企業・組織 | 事業の方針、財務基盤、経営陣が大切にしている考え方 |
プロダクト | 解決している課題、利用者や顧客、売上の成長、今後の開発構想 |
開発組織・チーム | 一緒に働くメンバー、責任者の考え方、チーム内の協力の仕方 |
開発プロセス・意思決定 | 技術選定や仕様を決める方法、レビュー体制、エンジニアが判断できる範囲 |
業務内容・プロジェクト | 入社後に任せたい仕事、解決してほしい技術的な課題 |
働き方・待遇 | 給与、評価制度、勤務場所、勤務時間の柔軟性、学習支援 |
整理するときは、評価を表す言葉だけで終わらせず、その根拠となる事実も確認します。「事業が成長している」なら、どの事業が、いつと比べて、どの程度伸びているのか。「裁量がある」なら、技術選定や開発の優先順位について、誰がどこまで判断できるのかを説明します。
ただし、数字を並べるだけでも十分ではありません。事業の成長によって新しい開発が増えるのか、既存システムの改善が必要になるのか、その仕事を今回採用する人に任せるのかまで分かると、候補者は自分の経験との関係を考えられます。
現場エンジニアへのヒアリングも重要ですが、「社員が魅力に感じていること」と「これから採用したい人が魅力に感じること」は分けて考える必要があります。たとえば、経験豊富な社員が評価する自由度の高さも、支援を受けながら経験を積みたい人には不安になるかもしれません。社員の意見は実態を知るために使い、それが採用したい人物にとっても魅力になるかを確かめます。
また、会社の知名度や既存事業の印象が、開発の実態を伝える妨げになる場合もあります。「ハードウェアの会社」という印象が強ければ、ソフトウェア開発の仕事があること自体を知られていないかもしれません。「上場企業だから新しい事業に関わる機会は少なそうだ」と思われているなら、現在進めている新規事業や募集する役割の説明が必要です。
自社の強みを整理する目的は、会社をよく見せる言葉を増やすことではありません。候補者が仕事内容や働く環境を理解し、自分に合う会社かどうかを判断できるようにすることです。その説明が不足していると、実際には合う人であっても、応募や返信を見送る可能性があります。
他社分析 候補者の現職や採用競合との違いを把握できていない
自社の特徴を整理しても、それだけで候補者が転職を検討する理由になるとは限りません。企業側は自社の求人を説明していますが、候補者側は「今の会社に残る」「別の会社に移る」という選択肢と比べているためです。
比較する相手は、主に2つあります。
1つは、採用したい人が現在働いている会社です。候補者が今の職場で実現できていないことを、自社では実現できるのかを考えます。たとえば、担当範囲を広げたい人に、現職とほとんど変わらない役割を提案しても、転職する理由にはなりにくいでしょう。
もう1つは、同じ候補者に選ばれようとしている採用競合です。自社では強みだと考えている制度でも、競合も同じ条件を提示していれば、その制度だけでは違いを説明できません。反対に、条件の一部で競合に劣っていても、任せる仕事や事業への関わり方に、候補者が重視する違いがあるかもしれません。
この比較をしないまま採用活動を進めると、候補者にとって珍しくない条件を強調したり、転職で解決したい問題とは関係の薄い魅力を伝えたりすることになります。候補者に積極的にアピールはしているものの、候補者が自社を選ぶ理由につながらないのです。
もし採用競合分析をするのであれば、他社の情報は、求人票、採用サイト、技術ブログ、登壇資料など、候補者が確認できる場所から集めます。今ですとAIのディープリサーチを使えば容易に情報を収集することが可能です。 そのうえで、自社の特徴を整理した項目ごとに、現職として想定する会社と採用競合を比較します。比較の結果、採用したい人物にとって十分な魅力を示せないなら、文章の工夫だけでは解決しません。任せる役割や条件、採用対象そのものを見直す必要があります。
職種別の出し分け 職種や経験に応じて、伝える内容を変えていない
同じ会社に応募するエンジニアでも、入社後に担う役割や、次の職場で実現したいことは異なります。それにもかかわらず、すべての職種に同じ求人説明やスカウトを使うと、候補者が知りたいことに十分答えられなくなります。
当社が2024年に行ったエンジニア調査では、直近の転職で転職先を選んだ基準を上位5つまで選んでもらいました。職種ごとに最も多く選ばれた項目は、次のとおりです。
職種 | 最も多く選ばれた項目 | 割合 |
データサイエンティスト | 企業全体で大切にしている価値観、カルチャー | 42.9% |
AIエンジニア | 企業全体で大切にしている価値観、カルチャー | 41.2% |
データエンジニア | 企業の成長の勢い | 38.7% |
テックリード | 企業の成長の勢い | 34.9% |
フロントエンドエンジニア | 企業全体で大切にしている価値観、カルチャー | 34.1% |
バックエンドエンジニア | 企業全体で大切にしている価値観、カルチャー | 30.0% |
これはあくまで一例ではありますが、こういった結果から、すべての職種に盲目的に技術の話だけをすればよいわけではないことが分かります。 また、同じ職種でも、経験によって違いがあります。バックエンドエンジニアがスカウトを受け取った段階で重視する項目には、次のような傾向が見られました。
経験レベル | 重視する項目の例 |
シニア | 未来のプロダクトやサービスの構想(18.4%)、企業全体の価値観・カルチャー(16.3%) |
ミドル | 評価制度(9.8%)、給与・待遇(9.8%) |
ジュニア | 福利厚生(12.5%)、給与・待遇(10.4%) |
たとえば、今後のプロダクト構想に関心がある人に、現在の使用技術と福利厚生しか伝えていなければ、検討に必要な情報が不足します。反対に、評価や待遇を確かめたい人に将来の構想だけを説明しても、その人の疑問は解消しません。相手が読みたいこと、判断したいことに答えていない点が問題です。
第1部で紹介した生成AI活用に関する調査でも、品質担保の仕組み、研究開発への関与、ガバナンスなど、職種によって重視する観点に違いがありました。ただし、これは生成AIの活用状況を見る際の観点であり、転職先を選ぶすべての条件の優先順位とは区別して扱う必要があります。
職種別に説明を変えるとは、職種名だけを差し替えることではありません。同じ会社の事実のうち、どれを先に伝え、どこを詳しく説明するかを変えることです。自社の特徴を十分に整理していなければ、この出し分けもできず、どの候補者にも同じ説明を繰り返すことになります。
運用の難しさ
採用したい人物や自社の強みが明確になっても、その内容が求人票やスカウト、面談で伝わっていなければ、候補者の判断にはつながりません。また、採用が進まない理由を確認せずに運用を続けると、問題がある箇所とは別の作業に時間を使ってしまいます。
ここからは、候補者との接点を持ってから内定承諾に至るまでに、採用を難しくしている要因を見ていきます。
採用コンテンツの公開 候補者が検討するための情報を公開できていない
求人やスカウトの文面だけで、会社や仕事のすべてを説明することはできません。 当社が2024年にWebエンジニア496名に行った調査では、転職考慮時に、スカウトに返信するかどうかを決めるときに最も重要な情報源として、80.8%がスカウトメールと添付の求人以外を選びました。最も多かったのは企業のHP(26.0%)で、SNS上での発信(11.3%)、テックブログなどの採用コンテンツ(10.7%)が続きます。
エンジニアの転職を対象にした別の調査でも、候補者は選考の途中で何度も会社の情報を確かめています。株式会社ベイジ「エンジニアの転職実態解剖2025年度版」(ITエンジニア1,154名、2024年12月〜2025年1月)では、採用サイトを見たタイミングとして、エントリーの直前(44.45%)、会社を知った後(38.13%)、カジュアル面談の前(34.14%)が挙がりました。また、88.38%が採用サイトを複数回訪れています。
興味を持った候補者が採用サイトや技術ブログを調べたときに、知りたい情報が見つからなければ、「話を聞いてみたい」と判断するための材料が不足します。
たとえば、「技術的に難しい課題に取り組める」と書かれていても、どのような課題があり、入社後にどこを任されるのかが分からなければ、自分の経験を生かせるかを判断できません。使用技術の一覧はあっても、チームの構成や開発の進め方が分からない場合も同様です。
採用を急ぐあまり、こうした情報を用意せずにスカウトの送信を始める企業様は決して少なくないのですが、それによって大きな機会損失が発生しているということになります。
企業サイト、採用サイト、採用インタビュー記事、採用説明資料がそもそも適切に揃っているかどうか。 またその内容がターゲットペルソナに沿った内容になっているかどうか。そういった観点でのチェックが求められます。
適したタイミングに適切な情報が提供されていない
採用コンテンツを用意していく中で1点必要な考慮があります。 それは候補者が置かれたフェーズ、スカウト受信時なのか、面談後なのか、選考途中なのか、内定承諾をするかどうかのタイミングなのか、 こういったタイミングによって、候補者が求める情報が違うということです。
当社が2024年にWebエンジニアに行った調査では、スカウトを受けたとき、カジュアル面談の後、内定を受けたときの3つの段階で、重視する要素や情報を選んでもらいました。 段階ごとに多く選ばれた項目は、次のとおりです。
段階 | 多く選ばれた項目 |
スカウトを受けたとき | 給与・待遇(10.5%)、一緒に働く開発メンバーの経歴や価値観(9.3%)、評価制度(9.3%)、ワーク・ライフ・バランス(8.7%) |
カジュアル面談の後 | 給与・待遇(9.2%)、開発の意思決定の進め方(8.6%)、新しい技術や技術的な挑戦(8.4%)、ワーク・ライフ・バランス(7.9%) |
内定を受けたとき | ワーク・ライフ・バランス(9.4%)、給与・待遇(8.3%)、開発の意思決定の進め方(7.5%)、会社の財務基盤・安定性(7.5%) |
経営者が事業の方向性を語る記事、技術責任者が開発組織の方針を説明する記事、現場の仕事を紹介する記事は、それぞれ答えられる疑問が違います。 またそういった抽象的な概念や方向性だけでなくより具体的な内容を知りたいというニーズも強いことが調査からは分かっています。 こういった観点から、採用コンテンツというものは、何本公開したかだけでなく、候補者が検討するうえで不足している情報を補えているかをチェックする必要があるのです。
求人のリライトをしていない 採用したい人物や任せたい仕事に合わせて求人を更新していない
求人票は、スカウトで興味を持った候補者が次に読む資料です。ここにペルソナ(採用したい人物像)に合った訴求が書かれていなければ、スカウト文面を直しても応募は増えません。
当社が2024年にWebエンジニア496名に行った調査では、スカウトに返信するかどうかを決めるときに重要な情報源として、51.6%が「添付されている求人の内容」を5位以内に選んでいます。
求人票で成果が出ない理由は、多くの場合、今回のペルソナに向けて書かれていないことです。以前の募集で使った求人票をそのまま使っている場合や、仕事内容と応募要件を並べただけの場合は、ペルソナが転職で実現したいことに答えられていません。
求人票を書き直すときは、まずペルソナ設計で決めた「誰に」を確認します。そのうえで、自社分析で整理した事実のうち「何を」書くかを決めます。たとえば、裁量を広げたいと考えている人がペルソナなら、技術選定や開発の優先順位を誰がどこまで決められるかを書きます。評価への不満から転職を考えている人なら、評価制度と給与の決まり方を書きます。同じ「Webアプリケーションの開発」でも、新規開発を任せたいのか、既存機能の改善を任せたいのかで、書く内容は変わります。
スカウト文面のリライトが出来ていない 候補者が知りたいことと、書いている内容が合っていない
スカウト文面も求人と同様に、ペルソナと対になる訴求点の書き出しが極めて重要です。
スカウト文章をどういう順番でどういう訴求をしていくのか、事前に用意した採用コンテンツURLを文面のどこに貼り付けて誘導をすべきか、リライトはどういうサイクルでどう改善を回すべきか、かなり詳細に渡り気をつけるべき観点がありますが、そういったスカウト改善活動自体を実施しなければ、エンジニア採用の難易度を大きくあげることになります。
スカウト文の構成については、スカウト返信率を上げる!エンジニア採用のスカウト文章構造でも詳しく解説しています。
移行率の分析ができていない どの段階で、なぜ候補者が減っているかを把握できていない
採用が進まない理由は、候補者との接点が足りないことだけではありません。返信はあるのに面談につながらない、面談はできるのに選考を辞退される、最終面接まで進んでも内定に至らないなど、問題が起きている段階は異なります。 選考パイプラインの中で、どこで人数が減り、その理由が何なのかを分けて確認する必要があります。
移行率を見るときは、計画時に想定した割合と実績を比較します。 特に重要なのは、辞退と不合格を分けることです。面談から一次面接に進まなかった人が多くても、企業側が見送ったのか、候補者側が辞退したのかによって、確認する内容は変わります。
不合格が多い場合は、候補者の選び方や、スカウト担当者と面接官の要件認識が一致しているかを確認します。辞退が多い場合は、仕事内容や条件の認識違い、面談で伝えきれていない情報、選考日程などを調べます。ただし、数字だけで原因を断定せず、応募者管理システムの記録や面談時の発言、辞退理由と照らし合わせます。
まとめ
エンジニア採用が難しい理由は、市場の需給だけでは説明できません。採用したい経験を持つ人が限られるなかで、自社を検討してもらうための情報や、候補者との接点を増やす計画が十分でないことも、採用を難しくします。
自社の強みが整理されていなければ、候補者に何を伝えるべきかが曖昧になります。現職や採用競合との比較がなければ、自社では魅力だと考えている条件が、候補者にとって転職する理由になるかも分かりません。さらに、整理した内容が求人票や面談に反映されていなければ、候補者には伝わらないままです。
採用が進まないときは、スカウトの送信数や文面だけを見直すのではなく、どの段階で候補者が減り、そこで何が起きているかを確認する必要があります。接点の数が足りないのか、仕事の魅力が伝わっていないのか、要件が合っていないのか。原因によって、取り組むべきことは変わります。
社内の工数が足りない場合は、実務の一部を外部に委ねる方法もあります。ただし、誰を採用し、何を任せたいのかという判断まで曖昧なままでは、委託先も適切に動けません。自社で判断することと、外部に任せる作業を分けたうえで、採用活動を続けられる体制を考えます。
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株式会社プロリクではITエンジニア採用に特化して採用代行業務を行っております。求人立ち上げ、スカウト作成といった初期設計から運用までまるっとおまかせいただけます。ご要望ございましたらお声がけいただけますと幸いです。
著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて採用担当として制度設計に従事し、さらにRPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実践までを牽引。プロリク参画後は、その豊富な実務経験を活かし、ITエンジニアのスカウト業務を中心に複数クライアントの採用成功を支援している
よくある質問
Q. エンジニア採用にはどのくらいの期間がかかりますか?
必要な期間は、必要な送信数を1か月に送れる数で割ると見積もれます。本記事のモデル値では、バックエンドエンジニア2名の採用に約1,879通を見込んでいます。実際の計画では、自社の過去の返信率や移行率で必要な送信数を計算し直します。
Q. 自社サービス開発エンジニアの年間転職者数はどのくらいですか?
本記事では、年間500〜1,000人という推計を紹介しています。ただし、これは自社サービス開発経験者を1〜2万人と推定し、全職種の転職者比率約4.8%を当てはめた参考値です。この職種の年間転職者を直接数えた統計ではなく、実際の人数として確定しているわけではありません。
Q. 1つの職種に何通のスカウトを送れば採用できますか?
一定の送信数で採用できるとは決まっていません。本記事のモデルでは、返信率5%や内定承諾率60%などの仮定を置き、2名の採用に約1,879通を見込んでいます。送信の目安は1職種あたり月80通程度です。月20通では、返信率5%の場合に月1件しか返信が来ず、改善の判断に使える件数が集まりません。
Q. スカウトの返信率を上げるには何を変えればよいですか?
細かな言い回しの前に、候補者が「なぜ自分に連絡が来たのか」「どのような仕事を任されるのか」を理解できるかを確認します。当社の調査では、Webエンジニアの51.6%が、返信を決めるときの情報源として「添付されている求人の内容」を5位以内に選んでいます。文面とあわせて、添付する求人票に必要な情報があるかも見直します。
Q. エンジニアは転職先を選ぶ際に何を最も重視していますか?
当社が2024年に行った調査で、直近の転職で転職先を選んだ基準を上位5つまで選んでもらったところ、最も多く選ばれた項目は職種によって分かれました。データサイエンティスト(42.9%)、AIエンジニア(41.2%)、フロントエンドエンジニア(34.1%)、バックエンドエンジニア(30.0%)では企業の価値観・カルチャー、データエンジニア(38.7%)とテックリード(34.9%)では企業の成長の勢いです。ただし、職種ごとの傾向を個人にそのまま当てはめることはできないので、本人が次の職場で実現したいことを確認します。
Q. 経験レベルによって、見ている項目は変わりますか?
本記事のバックエンドエンジニアの集計では、スカウトを受け取った段階で、シニアは今後のプロダクト構想、ミドルは評価制度や給与・待遇、ジュニアは福利厚生や給与・待遇が上位に挙がりました。これは重視する項目の傾向であり、シニアは待遇を気にしない、ジュニアは事業に関心がない、という意味ではありません。
Q. エンジニアは企業の生成AI活用をどの程度見ていますか?
当社のITエンジニア1,164名への調査では、約3割が、企業の生成AIを用いた開発プロセスの有無が応募判断に影響すると回答しました。職種別では、AI/MLエンジニアが約5割、SRE(サイト信頼性エンジニアリング:サービスを安定して動かす役割)と運用・保守系が約1.5割で、最大で約6倍の差があります。
Q. エンジニアが生成AIの業務活用で最も懸念していることは何ですか?
当社の調査では、「機密情報や個人データが外部に漏れるリスク」が16.2%、「生成物の品質・セキュリティが担保できない」が14.4%でした。ツールを導入していることだけでなく、情報の扱い方やレビューの仕組みを説明できると、こうした懸念に答える材料になります。
Q. AI/MLエンジニアとインフラエンジニアで、伝える内容はどう変えるべきですか?
第1部の生成AI活用に関する調査では、データ活用系(AI/ML、データエンジニア)はキャリアパス・成長機会(26.5%)と独自モデル・RAGの研究開発(24.5%)を最も重視していました。インフラ・クラウド系は、経営層のリーダーシップとガバナンス体制(各18.6%)です。これは生成AI活用について見る観点なので、転職先選び全体の優先順位とは分けて扱います。
Q. 採用コンテンツとスカウト、どちらを先に手がけるべきですか?
候補者が会社や仕事を理解できる情報が不足しているなら、その情報を用意する必要があります。すべての記事を完成させるまで待つという意味ではありません。求人票や採用説明資料など、応募を検討するための基本情報を確認し、不足を補いながら送信を進めます。
Q. エンジニア向けの求人票には何を書くべきですか?
使用技術や応募要件に加え、募集の背景、任せたい仕事、解決してほしい課題、チームの構成、意思決定の方法を説明します。給与、働き方、評価制度、学習支援などの条件も重要です。候補者が「自分の経験を生かせるか」「入社後にどのように働くか」を判断できる内容にします。
参考文献、資料
- IPA 独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2023」(IT人材総数 約125万人、令和2年国勢調査ベース): https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/index.html
- DX白書2023 第4部 デジタル時代の人材: https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf
- IPA 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(日本企業の85.1%でDX人材不足、米国23.8%・ドイツ44.6%との比較、国内1,535社対象): https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html
- 総務省「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(転職者数330万人・転職者比率4.8%): https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei04_01000292.html
- スピーダ スタートアップ情報リサーチ「Japan Startup Finance 2025」(国内スタートアップ調達額7,613億円・調達社数2,700社): https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2030年に最大約79万人不足の試算、2019年公表): https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
- doda「転職求人倍率レポート」(エンジニア職の求人倍率10倍超、2025年): https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/data/
- Findy「エンジニアの生成AI活用と転職に関する調査」(2025年6月・605名)
- 株式会社ベイジ「エンジニアの転職実態解剖2025年度版」(2020年以降に転職活動をしたITエンジニア1,154名、2024年12月23日〜2025年1月5日): https://baigie.me/recruit-blog/2025/04/03/engineer-survey-2025/