令和6年度の介護職の採用率(在籍者数に対する1年間の採用者数の割合のこと)は14.3%、離職率は12.4%でした。この2つは、どちらも令和5年10月1日時点の在籍者数を分母にした割合です。分母が同じなので、1年間に採用した人数とほぼ同じ人数が、同じ1年間で辞めたことになります。正味で増えたのは1.9%分だけです(調査では「増減率1.9%」として公表)。採用を続けても欠員が埋まらないのは、採用した数が足りないからではなく、それに近い人数が同じ年に辞めているからです。
誰が、なぜ介護の職場を移るのかという採用市場については介護職はなぜ転職するのか|辞める理由と採用市場の実態【2026年版】で扱っています。本記事では、介護職の離職率・定着率の最新データをもとに、どの職種・どの年齢層で離職が起きているのか、定着率を上げるために何から始めればよいのかを、介護事業所の雇用側の視点で整理します。
💡この記事の要点(TL;DR)
- 介護職の定着率とは: 採用した介護職員がどれだけ辞めずに在籍し続けるかの割合。裏返しが離職率で、訪問介護員・介護職員を合わせた離職率は12.4%(令和6年度)。定着率でいえば約88%です。離職率は5年で14.9%(令和2年度)→12.4%(令和6年度)へ改善しています。
- 採用した人数とほぼ同じ人数が辞めている。29歳以下の離職が高い: 令和6年度の採用率は14.3%、離職率は12.4%。どちらも同じ在籍者数を分母にした割合で、差し引きで増えたのは1.9%分だけです。年齢別では29歳以下の離職率が18.7%と最も高く、訪問介護員の不足感は83.4%に達します。
- 辞める理由の中心は人間関係と現場の指導のしかた、そして処遇: 辞めた理由の1位は職場の人間関係(24.7%)で、その内訳の49.1%が上司・先輩のきつい言動・パワーハラスメント。満足度では人員配置と賃金が大きくマイナスです。定着に役立つのは、人間関係づくりと、休暇・シフトの取りやすさです。
介護職の離職率・定着率は今どのくらいか
訪問介護員・介護職員を合わせた離職率は12.4%(令和6年度)で、定着率でいえば約88%です。 数字は近年やや改善していますが、採用率14.3%との差は1.9ポイントで、採用した人数に近い人数が同じ年に辞める状態が続いています。介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」(事業所調査)によると、2職種計の離職率と採用率の推移は次のとおりです。
年度 | 離職率 | 採用率 |
令和2年度 | 14.9% | 16.2% |
令和3年度 | 14.3% | 15.2% |
令和4年度 | 14.4% | 16.2% |
令和5年度 | 13.1% | 16.9% |
令和6年度 | 12.4% | 14.3% |
出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」図表1-1-1を基に作成。
採用率・離職率の定義(同報告書5ページ)。同じ調査でも定義が違うと数字は比べられないため、先に確認しておきます。
- 採用率 = 1年間の採用者数 ÷ 令和5年10月1日時点の在籍者数 × 100
- 離職率 = 1年間の離職者数 ÷ 令和5年10月1日時点の在籍者数 × 100
- 分母の在籍者数は、令和6年10月1日時点の在籍者数から1年間の採用者数を引き、離職者数を足して算出したもの
採用率と離職率は分母が同じです。この差を同調査は「増減率」として公表しており、令和6年度は1.9%でした。つまり、1年間で在籍者数の14.3%にあたる人数を採用し、12.4%にあたる人数が辞め、正味で1.9%だけ増えた、と読めます。
離職率は5年間で14.9%から12.4%へ下がっており、全体としては改善傾向です。ただし令和6年度は、採用率が2.6ポイント下がって14.3%になりました。離職率の低下幅は0.7ポイントなので、両者の差である増減率は1.9%まで縮みました。採用しても、それに近い人数が同じ年に辞めるため、現場の欠員が解消しにくくなっています。分母が同じである以上、定着率を1ポイント上げることは、採用を1ポイント増やすのと同じだけ現場の人数に影響します。
職種と年齢で、離職率は変わる
介護の離職率は、職種と年齢で違います。とくに29歳以下の若年層で離職率が高くなります。 令和6年度の職種別では、離職率は訪問介護員で11.4%、介護職員で12.8%でした。採用率は訪問介護員14.1%、介護職員14.4%です。年齢別に見ると、差はもっとはっきりします。
年齢層 | 採用率 | 離職率 | 増減率 |
29歳以下 | 31.4% | 18.7% | 12.7 |
30〜39歳 | 15.8% | 13.8% | 1.9 |
40〜49歳 | 14.1% | 12.4% | 1.7 |
50〜59歳 | 13.3% | 11.5% | 1.8 |
60〜64歳 | 10.4% | 10.5% | -0.1 |
65歳以上 | 7.9% | 10.6% | -2.6 |
出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」図表1-1-7を基に作成(2職種計、回答数7,051件)。
29歳以下の離職率18.7%は、他のどの年齢層よりも高い数字です。30〜39歳13.8%、40〜49歳12.4%、50〜59歳11.5%と年齢が上がるにつれて下がり、60〜64歳の10.5%が最も低くなります。65歳以上は10.6%で、60〜64歳とほぼ変わりません。採用率でも29歳以下は31.4%と突出しており、若年層は入ってもらいやすいぶん、辞めやすい層です。前章で見たとおり中途採用の多くが別の業界から来た未経験者であることを踏まえると、若い未経験者を採用した後、最初の数年でどれだけ定着させられるかが、事業所全体の離職率を左右します。
年齢が上がると、離職率よりも採用率のほうが大きく下がります。29歳以下は採用率31.4%から離職率18.7%を引いた増減率が12.7で、最も人が入れ替わる層です。一方、60〜64歳は-0.1、65歳以上は-2.6で、この2つの層では辞める人数が入ってくる人数を上回り、正味で減っています。上の年齢層は辞めにくいものの、そこを新たに採用して補うことは実際には起きていません。
事業所ごとの差も大きくあります。同調査では、1年間の離職率が10%未満の事業所が50.7%を占める一方で、30%以上の事業所も13.1%あります。半数の事業所は落ち着いて回せている一方、1割強の事業所では3割以上が入れ替わっています。全国平均の12.4%だけを見て自事業所の状態を判断すると、実態を見誤ります。
介護職はどれだけ足りていないか
介護の人手不足は、職種によって深刻さが大きく違います。とくに訪問介護で人手が足りていません。 令和6年度介護労働実態調査で、従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と感じている事業所の合計(不足感)は、全体で65.2%でした。この不足感は、令和2年度の60.8%から令和6年度の65.2%へと、少しずつ上がっています。職種別に見ると、令和6年度は次のとおりです。
職種 | 不足感 |
訪問介護員(ホームヘルパー) | 83.4% |
介護職員 | 69.1% |
看護職員 | 44.2% |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 34.5% |
サービス提供責任者 | 30.9% |
出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」図表1-2-1を基に作成。
訪問介護員の不足感83.4%は、他の職種を大きく上回ります。前章で見た訪問介護員の高齢化(平均50.8歳)と合わせると、訪問介護は今も人が足りず、実際に働いている人の高齢化も進んでいます。人が足りない現場ほど、1人辞めたときに残った人の負担が増え、それがさらに離職を増やします。訪問介護では、1人辞めずに続けてもらえるかどうかが、他のサービスより大きく影響します。
なぜ介護職は離職するのか
介護職が辞める主な理由は、採用のやり方ではなく、人間関係と現場の指導のしかた、そして人員配置と処遇です。 介護労働安定センターの調査で、介護の仕事を辞めた人の理由の上位は、職場の人間関係(24.7%)、他に良い仕事・職場があったため(18.5%)、事業理念や運営への不満(17.6%)でした。人間関係の中身を見ると、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が49.1%、「上司の業務指示が不明確で、リーダーシップがなかった」が36.2%を占めます。
在籍している介護職の悩み・不安・不満を見ると、別の側面が見えます。上位は「人手が足りない」(49.1%)、「仕事内容のわりに賃金が低い」(35.3%)、「身体的負担が大きい」(24.6%)でした。
職場のどこに満足し、どこに不満があるかは、満足度DI(「満足」から「不満」を差し引いた指標。プラスなら満足が多い)で整理できます。
項目 | 満足度DI |
職場の人間関係 | +32.4 |
仕事の内容 | +28.2 |
賃金水準 | ▲14.3 |
休憩室などの付帯設備 | ▲15.3 |
人員配置体制 | ▲21.3 |
出典: 介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」図表5-1-1を基に作成。
満足度がプラスなのは人間関係と仕事の内容で、大きくマイナスなのは人員配置体制・付帯設備・賃金水準です。介護職は、仕事のやりがいや同僚との関係には一定の満足を持ちながら、「人が足りない体制」「割に合わない賃金」に不満を抱えています。定着は「介護はやりがいがあるから」だけでは説明できません。やりがいはすでにプラスで、不満が出ているのは体制と処遇です。自事業所で起きているのがどの要因なのかを、退職者への面談や在籍者への匿名アンケートで先に切り分けてください。対策を始めるより、現状の把握が先です。
介護職の定着率を上げる方法(優先順位つき)
定着率を上げるには、採用を強化する前に、離職の原因になっていることを止めるほうが早く効果が出ます。何に効果があるかは、データに出ています。 同じ調査で、介護職本人が「今の職場を辞めずに働き続けることに役立つ」と挙げた取り組みの上位は、人間関係が良好な職場づくり(47.2%)、有給休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり(43.2%)、職場内コミュニケーションの円滑化(30.9%)でした。事業所側が「職場定着に効果があった」とした取り組みも、有給休暇等の取得や勤務日時変更のしやすさ(34.4%)、賃金水準の向上(30.9%)、人間関係が良好な職場づくり(29.5%)と、ほぼ重なります。働く側と事業所側の双方が効果があるとしている取り組みから始めます。
短期(最初の6〜12か月で着手する)
- 休暇・シフトを取りやすくする:有給休暇の取得や、希望する勤務日時への変更を通しやすくする。働く側・事業所側の双方が「定着に役立つ/効果があった」とした取り組みの中で最も上位です。まず現場の休みの取りやすさから変えます。
- 人間関係とハラスメントへの対応:辞めた理由の1位が人間関係で、その49.1%が上司・先輩のきつい言動やパワーハラスメントでした。管理者・リーダーの指導のしかたを見直し、相談窓口と、相談後の対応・再発防止までを整えます。窓口を置くだけでは足りません。
- 未経験者・中途の初期定着支援:中途採用の多くが別の業界から来た未経験者です。「経験がないぶん任せきりにしない」体制、つまり経験のある職員が段階を追って教える体制、相談相手を決めておくこと、入職後90日・180日の面談を用意します。29歳以下の離職率が最も高いことを踏まえ、最初の数年の支援に重点を置きます。
中期(1〜3年)
- 賃金・処遇の引き上げ:賃金水準の満足度DIは▲14.3、悩みの2位も「賃金が低い」(35.3%)でした。介護職員処遇改善加算などを確実に取得し、それを現場の給与へ反映する運用と、キャリアパス(資格取得・役割の段階)の明示を進めます。
- 人員配置体制の見直し:満足度DIが最も低いのは人員配置体制(▲21.3)で、悩みの1位も「人手が足りない」(49.1%)でした。ここは採用だけでは解決しません。記録業務の簡素化、介護ロボットやICT(情報通信技術)の活用、業務分担の見直しで、1人あたりの負担そのものを下げます。
長期(3年以降)
- 仕組みの作り直し:身体的負担(悩みの3位・24.6%)を下げる機器や設備の配置、業務の進め方の見直し、外国籍の方を含めて幅広い人を受け入れ、仕事を任せられるようにする体制。単年度の離職率の改善を続けるには、制度・運用・現場の指導のしかたを組み合わせた仕組みが必要です。逆に、つらい現場に個人の頑張りで慣れてもらおうとする対応は、効果が出にくいやり方です。
サービス種別で、進め方を変える
職種・サービスで人手不足の深刻さも離職の起き方も違うため、取り組みの順番もサービスに合わせて変えます。
- 訪問介護(訪問介護員):不足感が83.4%と最も高く、平均年齢50.8歳・60歳以上27.0%と高齢化も他の職種より進んでいます。短時間勤務・登録ヘルパーとして続けやすい働き方、身体的負担への配慮、直行直帰の運用を整えつつ、次の世代のヘルパーを採って育てることを優先します。
- 入所施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設など):夜勤を含む交代制勤務があり、29歳以下(離職率18.7%)の初期定着が課題になりやすい職場です。管理者・リーダーの指導のしかたの見直しと、未経験者の初期定着支援を優先します。
- 通所介護(デイサービス):日勤中心で、訪問・入所に比べれば勤務の負担は軽い傾向ですが、賃金や仕事のやりがいで他の職場と比べられます。処遇と、その事業所ならではのケアの内容を具体的に示すと定着につながります。
中途採用の定着と、募集・応募の段階
定着率を上げる取り組みは、入職後だけでは足りません。誰を、どう採用するかも、その後の定着を左右します。 介護の中途採用は、その多くが別の業界から来た未経験者です(現在の訪問介護員の47.1%、介護職員の48.2%が直前は介護以外で、うち約85%が介護未経験)。「経験者だから任せられる」という前提が通用しないぶん、募集・応募の段階の作り方が、そのまま定着に影響します。どういう層がどこから介護に入職するのかは、介護職はなぜ転職するのか|辞める理由と採用市場の実態【2026年版】で詳しく整理しています。よろしければご覧ください。
募集・応募の段階でできることは2つあります。
- 実態を正確に伝える:募集や面接の段階で、シフト・夜勤や訪問の有無・研修体制・人員体制・処遇の実態を具体的に伝え、入職前に認識をそろえる。介護の求職者が職場を選ぶ理由の上位は「通勤に便利」(51.9%)、「やりたい介護ができそう」(33.6%)、「人間関係がよさそう」(33.6%)でした。この3点が実際にどうなのかを、良く見せるのではなく正確に伝えると、入職後の食い違いが減ります。
- 応募者の質を上げる:求人を出して待つだけでなく、条件の合う候補者を探して直接声をかける(スカウト)と、自事業所に合う人に出会いやすくなります。有料職業紹介経由の採用は手数料の負担があるうえ、自事業所の名前で募集・選考する採用より定着に課題が残りやすいため、募集する経路そのものの見直しも有効です。
こうした採用実務を自事業所だけで回すのが難しい場合、採用業務を外部に委託する採用代行(RPO)という方法があります。RPOの全体像は【2026年版】RPO(採用代行)とは?費用相場・メリット・選び方をご参考ください。
また、介護の採用が得意な会社の比較をしたい場合は、介護の採用代行(RPO)比較|訪問・施設・通所別の選び方と3つの基準【2026年版】をご覧ください。
また、最近では生成AIを使って、劇的に効率を高めた採用代行サービスも出てきています。詳しくは、AI RPO(AI採用代行)とはで解説しています。
まとめ
介護職の定着率は、募集・応募の段階から入職後の運用までを一貫して見直すと上がります。訪問介護員・介護職員を合わせた離職率12.4%(令和6年度)という全体の数字は改善傾向にありますが、採用率14.3%との差は1.9ポイントで、採用した人数に近い人数が同じ年に辞めています。29歳以下では離職率18.7%、訪問介護員の不足感は83.4%に達します。
離職の主因は、やりがいや人間関係の欠如ではありません。満足度がプラスなのは人間関係と仕事の内容で、不満が大きいのは人員配置体制(満足度DI▲21.3)と賃金水準(▲14.3)、そして辞めた人の理由1位である現場の人間関係と指導のしかた(人間関係を理由とした人の49.1%が上司・先輩のきつい言動やパワーハラスメント)です。
定着率を上げるには、採用を強化する前に、これらの要因を止めます。短期では休暇・シフトの取りやすさ、人間関係とハラスメントへの対応、未経験者・中途の初期定着支援から始め、中期で処遇と人員配置体制を見直します。あわせて、別の業界から来た未経験者が中心という、募集・応募の段階の質も、その後の定着を左右します。採用と定着を切り離さず、ひと続きの取り組みとして組み立てることが、介護職の定着率を上げる基本です。募集やスカウトの運用を外部に委託する場合は、【許可番号つき】医療・介護の採用代行(RPO)11社比較|職種別の選び方【2026年版】で会社ごとの対応範囲と許可番号を確認できます。
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著者について
宮前 貴史(株式会社プロリク )
大学卒業後、個人事業主として約5年半にわたり、BtoC・BtoB領域で営業から企画・運営までを一気通貫で経験。その後、ベンチャー企業にて就労移行支援事業所の支援員として、利用者の一般就労に向けた支援に携わる一方、採用担当として採用制度の設計にも従事。さらに、RPOサービスの立ち上げ責任者として、スカウト業務の仕組み化から実運用までを牽引した。
株式会社プロリク参画後は、福祉現場での支援経験と、営業・採用・RPO領域で培った実務経験を活かし、採用ターゲットの設計、スカウト文面の作成、候補者選定、運用改善など、複数法人の採用活動を支援している。
よくある質問(FAQ)
Q: 介護職の定着率(離職率)の平均はどのくらいですか?
訪問介護員・介護職員を合わせた離職率は12.4%(令和6年度、介護労働安定センター「介護労働実態調査」)で、定着率でいえば約88%です。離職率は令和2年度の14.9%から令和6年度の12.4%へと、5年間で改善しています。ただし採用率は14.3%で、離職率との差は1.9ポイントしかありません(採用率・離職率とも、分母は令和5年10月1日時点の在籍者数)。採用した人数に近い人数が、同じ年に辞めています。
Q: 介護職は、どの年齢層がいちばん辞めやすいですか?
29歳以下が最も辞めやすい層です。29歳以下の離職率は18.7%(2職種計)で、30〜39歳13.8%、40〜49歳12.4%、50〜59歳11.5%と年齢が上がるにつれて下がり、60〜64歳の10.5%が最も低くなります(65歳以上は10.6%)。29歳以下は採用率も31.4%と突出して高く、入ってもらいやすいぶん、最初の数年で辞めやすい層です。初期の定着支援が、事業所全体の離職率を左右します。
Q: 訪問介護は、なぜとくに人が足りないのですか?
訪問介護員の不足感は83.4%と、介護職員(69.1%)を大きく上回ります。訪問介護員は平均年齢50.8歳、60歳以上が27.0%と高齢化も進んでいます。今も人が足りず、実際に働いている人の高齢化も進んでいるため、訪問介護では定着と、数年先に働く人が入れ替わることの両方が課題です。
Q: 介護職が辞める主な理由は何ですか?
辞めた理由の上位は、職場の人間関係(24.7%)、他に良い仕事・職場があったため(18.5%)、事業理念や運営への不満(17.6%)です。人間関係の中身は、上司・先輩のきつい言動やパワーハラスメントが49.1%を占めます。在籍者の悩みでは「人手が足りない」(49.1%)、「賃金が低い」(35.3%)が上位です。
Q: 介護職の定着率を上げるには、何から始めればよいですか?
まず自事業所の離職理由を把握することからです。退職者面談や在籍者への匿名アンケートで要因をはっきりさせます。そのうえで、休暇・希望シフトの取りやすさ、人間関係とハラスメントへの対応、未経験者・中途の初期定着支援といった、働く側・事業所側の双方が効果があるとした短期の取り組みから始めます。
Q: 給与を上げれば、介護職の定着率は上がりますか?
賃金は満足度が低い項目(満足度DI▲14.3)で、引き上げは必要です。ただし賃上げだけでは十分ではありません。満足度が最も低いのは人員配置体制(▲21.3)で、人間関係や有給・シフトの取りやすさも定着に大きく影響します。処遇改善と、体制・人間関係の改善をあわせて進めてください。
Q: 未経験で採用した介護職が早期に辞めてしまいます。どうすればよいですか?
介護の中途採用は約85%が介護未経験です。「経験がないぶん任せきりにしない」体制、つまり経験のある職員が段階を追って教える体制、相談相手を決めておくこと、入職後90日・180日の面談を用意してください。あわせて、採用時にシフトや研修体制、人員体制の実態を正確に伝え、入職前に認識をそろえると、29歳以下の早期離職が減ります。
Q: 定着率を上げると、採用コストの削減につながりますか?
つながります。早期離職が減れば、採り直しにかかる募集費・有料職業紹介の手数料・研修コストを抑えられます。介護は採用率14.3%と離職率12.4%の差が1.9ポイントしかなく、採用した人数に近い人数が同じ年に辞めているため、定着率の改善は、採用を増やすのと同じだけ現場の人数に影響します。